覚醒



 「マリア!! 俺が隙を作る、あとから来い、いいな!!」
 「分かった!!」
 「よし!!」


 ユウキはそう言い残して速度を上げると、アリスに向かい突っ込む。
 両手を開き、そこに魔力を集中させるといつでも超能力を発揮できるように準備を整える。だが、すぐに攻撃を仕掛けたりしない。どうするか少し悩んでしまう。燃やすか、潰すか、吹き飛ばすか
 不死身の怪物に対してどんな攻撃が効果的か、計りかねているのだ。
 正面切って戦うのはこれが最初にして最後になるだろうから、慎重にいかなくてはいけない。
 とりあえず
 テレキネシスでも放って牽制をしよう。
 そう決めた時、その瞬間。

 目に見える範囲にいたはずの原初の魔法少女の姿が消えたのだ。


 「え?」


 何が起きたのか理解するより早く
 目の前が真っ暗になる。


 なぜ?
 その答えはあっさりと出た。
 原初の魔法少女が目の前にいるのだ。
 一瞬、ほんの一瞬の間に自分の目の前にまで来たのだ。瞬間移動? しかし、マリアの能力をコピーされたはずがない。どういう訳だ。困惑するユウキだったが、答えは出た。優希の能力だ。
 原初の魔法少女は、呆気に取られて隙だらけのユウキを見ると自らの勝利を確信した。
 一瞬の隙も与えない。
 剣を持った腕をブンッと振るうと、その先をユウキの腹に突き刺す。服を裂き、肉を突き抜け、内臓を潰して骨に鋭い傷を入れる。一秒も経たずに剣の先端はユウキの背中からひょいと顔を覗かせ、先から紅蓮の滴を地面に染み渡らせる。
 少し遅れて
 ユウキの全身を痛みが支配する。


 「―――ッ!!」


 唇を閉じ、声を出さないように
 それはマリアを心配させたくないという思いから出た物だが
 もう手遅れだった。