全身が硬直した瞬間に、原初の魔法少女はユウキに刺した剣を遠隔操作すると、刺さったままの格好で飛ばすと、数m後ろにある民家の壁に背中からぶつける。ドゴンッという鈍い音と、剣が刺さるガッという音も聞こえてくる。
 ユウキの串刺しの完成だ。
 マリアはそれを見て顔を真っ青にすると、急いで彼を助け出そうとする。これ以上何も失いたくない、これ以上誰かが死ぬ瞬間を見たくない。本当に一人ぼっちになってしまうのが、本当に恐ろしい。
 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
 頭の中がその言葉でいっぱいになって、何も考えられなくなる。
 完全に頭が沸騰していた。

 だがそこに、ユウキの叫び声が響く。


 「待て!!」
 「え?」
 「く


 パチン
 ガオン

 不可思議で、無慈悲な何かがその言葉を遮った。
 そのせいで、ユウキの声が途切れ、虚空へと消えていく。

 何が起きたのか
 それは単純だ。

 原初の魔法少女が空間削除能力を使い、ユウキの頭部を消し飛ばしたのだ。

 何の変哲もない民家の壁に
 まるで蝶国のような首の亡くなった少年の串刺し死体が完成した。

 こんなにあっさり
 死んでしまった。

 『ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!! ハハハハハハハハハハハハ!!!!! ハハハハハハハハハハハハ!!!!! 死んだァッ!!! 死んだァッ!! 殺したァ!!!!! ハハハハハハハハハハハハ!!!!! ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!! 楽しい!!!! ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!』
 どうしようもなく憎たらしい声が脳裏に響く。

 マリアは
 心の奥底に眠っていた悪鬼が目覚めたことに気がついた。
 絶望に満ち満ちて、どうしようもなく染まり切った顔をして、滝のように涙があふれる目に烈火のごとき怒りの炎を宿らせると、激情に身を任せて口を大きく開いて、今まで出したことのないような大きな声で、大地を震わせながら叫んだ。


 「お前ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!!!!」