すっかり物語に魅入られていたマリアは熱のこもった声で尋ねてみる。


 「真の目的……?」
 「そうだ、仲間の一人が発見したことなのだが原初の魔法少女と絶望少女が接触し、何かしらの指示を受けているのが確認された」
 「それが……?」
 「おそらくだが、原初の魔法少女が絶望少女などを生み出していったのは戦力なのだ」
 「……戦力?」
 「そうだ。彼女が世界と争うために、駒を増やしていたのだ」
 「そういうことだったの……」
 「あぁ、だが問題が起きた」
 「……それって?」
 「彼女にとって不運だったのが、世界中に生み出した魔法少女の半分がこちら側についたということだ?」
 「え?」


 こちら側、ということは味方なのだろう。
 その理由がよく分からず考え込む。
 その答えは達也が教えてくれた。


 「携帯やパソコンの掲示板、さらには一人の魔法少女によるネットでのつながり。そういったものが魔法少女たちを団結させていき、グループを組むようになったりした。全国区的に有名になった少女も生まれ、彼女を慕う者も現れた。それは原初の魔法少女にとって予想外の出来事だっただろうと思う」
 「それは、なんで?」
 「不幸な人間が好んで他人とつながると君は思えるか? おそらく、彼女はその隙をついて大量の魔法少女を仲間に引き入れるつもりだったのだろう。ところが、思いのほか魔法少女たちが団結してしまったのさ」
 「それだから……」
 「こちら側についたある魔法少女が、呼びかけてくれたおかげで原初の魔法少女は思いのほか戦力を得られなくなった。しかし、彼女はそのことも予想していた」
 「予想していたの?」
 「あぁ。だから彼女はある手段を取った」


 その手段とは何なのだろうか
 疑問に思うマリア
 達也はまるで苦虫を噛み潰したような顔をしてから話を続けた。


 「彼女は一人の魔法少女を味方に引き入れると、その少女を増やしたのだ」
 「増やした?」
 「そう、君も見ただろう。陶磁器の仮面を被り、翼を生やしたあの少女達。彼女たちがその魔法少女のなれの果てだ」
 「それは……」


 何とも言えない気分になった。
 おそらく翼の少女の元となった魔法少女は自分の意志でそうなったのだろうが、自分がそこらかしこに大量に存在しているのだ。それはどんな気分なのだろう、マリアにはうまく理解することができなかった。
 延々と答えの出ない問に悩んでいる間に達也は言葉を続ける。


 「彼女はそれで世界と対等に戦えるほどの戦力を手にしたのだ」
 「なるほど……」
 「さて、ここからが本題だ」
 「……確かに」


 そう言われるとそうだ。
 生み出されたという言葉の意味も明らかになっていない。
 話は始まったばかりなのだ。