マリアは考え続ける。
 結局自分は何のために世界を救ったのだろう。
 自分のためだと思いたいが、そんなことはない。なぜなら原初の魔法少女を殺した今、それが自分のためになっているとは到底思えなかったからだ。彼女を殺したことで、果たして自分にとって利点があったのだろうか
 答えは単純
 そんなのない。

 逆に失ってばかりで損をしている。
 なら
 どうして?
 自分はどうして世界を救ったのだろうか
 一体、誰がために

 仮に「誰」というのならそれは今世界中で生きている人間のためだろう。これで国連軍――もとい人間は―――戦争に勝つことができるだろう。魔力の供給手段を失った魔法少女たちはただ死を待つことしかできないからだ
 おそらく
 十年もしないうちに戦争の傷跡は消しさられ、あの二人で遊んだ町と同じ光景が、変わらない日常となるのだろう。

 それを見ることができるとして
 マリアはその喜びを誰と共有したらいいのだろうか。
 知っている。
 そんな相手
 もうどこにもいない。


 マリアが完全に自分を見失い、永遠に続く至高の迷路に迷い込んでいた時
 彼女に優しい声がかけられた。

 「マリア」
 「…………」
 「マリアッ!!」
 「……クライシス……?」