現実



 人数はそこまで多くない、十人から十五人。彼らは全員、達也の遺したレーザー銃を片手に、無機質なヘルメットで顔面を隠していた。
 無線で通信をしながら、足を止めることなくまっすぐマリアに向かって行く。
 それを見ても、マリアは動こうとしなかった。少なくとも今までは国連軍は味方だったし、彼らのことをクライシスが危険に感じることなど無いように思えたからだ。腰を上げることなく、彼らの動きをぼーっと無意味に網膜に映し続ける。
 マリアから約数十m程度離れた位置で動きを止めると、そのうち五人が一歩前に出る。

 そして
 ゆっくりと腕を上げると
 手にしていたレーザー銃を構えて
 銃口をマリアに向けた。

 銃口を向けた。
 そう、狙いを自分につけてきたのだ。


 「えぇ?」


 そこで初めて
 マリアは正気に戻る。
 だが
 遅すぎた。


 「殺せ」という小さな声
 無慈悲に引かれる引金。


 そして、強烈な熱と共に放たれる赤い光線
 幾筋ものそれは、寸分違わずマリアに命中した。