だがそんなことはなく、達也はマイペースに話を始める。


 「すでにデルタが先に行って露払いをしてくれている」
 「あ、そうなのか」
 「今日はマリアの能力を覚醒させるのが目的だ」
 「…………で、どこに行けばいいんだ?」
 「第二ジャミング施設周辺だ」
 「オケ、分かった」


 二人の間で会話が進んでいく。困惑しているマリアは、どうすればいいのか分からずボケーッと立ち尽くしている。その姿に気が付いた達也はきちんと説明をすることに決め、何か機器を操作すると空中に映像を投影する。
 すると衛星写真のようなものが現れる。
 画面の中心には白い建物があり、その周辺に二つの丸い何かがあった。その周囲は森に囲まれていて、どこかの山の中にあるようだった。
 達也は中央の建物を指さすと言った。


 「いいか、ここが君たちのいる研究所だ」
 「あ、そうなの」
 「で、この周囲にある二つの建物がジャミング施設だ」
 「どうしてそんな施設が?」
 「いいか、ここからシールドが二重に張られている。その間に独特な波長をもつ魔力を充満させることで、ここの位置を特定できないようにしているのだ。おかげで、この研究所は原初の魔法少女たちに攻撃されずにいる」
 「なるほど……」
 「しかし、この施設の位置はすでに敵に知られている。そのためいつもなら国連軍や魔法少女が防衛に当たっているのだが、今日はその守りが手薄だ」
 「そういえばさっき魔法少女たちが出て行ってるって言ってましたね」
 「その通りだ。その上、軍から送られてきた情報で翼の少女たちの一群が施設に向かっていることが分かった」
 「大変じゃないですか!!」
 「大した数ではないから初陣にはちょうどいいだろう」
 「分かったぜ、座標は分かっているからすぐに飛べるぜ。マリアもいいだろう?」
 「…………拒否権がないのにどうして聞くの?」
 「よし、すぐ行け」
 「うしっ!! 飛ぶぜ、マリア」
 「ん」


 渋々ながらも頷くマリア、今度は自分から手を取る。ユウキはそんなこと気にせず目を閉じて意識を集中させる。脳裏にジャミング施設の位置と姿を思い浮かべる。距離がそこそこあるので下手すると町があった場所に飛ぶかもしれない。
 だがもう慣れたもので、十秒もすると完全に座標の固定に成功した。
 ニッと笑うとテレポーテーションを使う。
 すると、フッと二人の姿が消えた。
 達也はそれを見届けることなく、パソコンを立ち上げると仕事を始める。そろそろフレイヤ達の報告が来るはずだった。それに近くに駐留している軍にも命令を下さないといけない。
 その上、クライシスの微調整も終わっていない。今はクライシスが自分でやっているのだが、最終的にこの目で確認しないといけない。本当はマリアの戦う前に終わらせたかったのだが間に合わなかった。
 そのため、今回マリアはクライシスのサポートなしということになる。


 「面倒だな」


 やらなくてはいけないことは山積みだった。