「…………」


 ガンガンガンガンという鈍い足音が響き渡る。
 デルタは森の中を全速力で走っていた。木々の間をすり抜け、邪魔な岩を飛び越える。悪路にもかかわらず速度が落ちるわけではなく、それどころかドンドンと速くなっているようだった。
 既にジャミング施設は通り抜け、その向こう側の偵察をしている。その理由は、先に敵を叩きのめす方がはるかに安心だからだ。
 ふと、搭載している魔力感知センサーが反応を見せたので顔を上げてみる。
 すると黒い点がいくつか空にあるのが見えた。ズームしてよく見てみると、数十人の翼の少女達が空を舞っている姿が飛び込んできた。それを見る限り、どうやらまだジャミング施設に攻撃は仕掛けられていないようだった。
 安心したデルタは小さく呟く。


 「間に合っタ」


 だが、戦いはこれからだ。
 ちょうどいいことに、周囲の木々の数が一気に少なくなっている。
 デルタは上下に着ていたのを服を投げ捨てて、全力で地面を蹴って宙に飛び上がった。それと同時に全身を覆っていた立体映像が消え、鉄の体が露わになる。両足のふくらはぎの部分が展開すると、そこからぶーすーたーのようなものが顔をのぞかせる。
 噴射口から青い炎を放つと、そのまま高度をドンドン上げていく。


 「行くヨ」


 そう呟きながら、掌の装甲を展開するとエネルギー砲を放てるようにする。両目のモードをズームからロックに切り替え、敵の少女の数を確認する。総勢二十名、司令官がいないところを見ると完全に遠隔操作されているタイプらしかった。
 なら、楽勝だ。
 翼の少女たちはデルタのことに気が付いたのか、高度を下げて二手に分かれると挟み討ちしようとする。
 それに気が付いたデルタは先制攻撃を仕掛けることにすると、両手を少女たちの方に向けて、エネルギー砲を発射する。
 ドンッ!! という鈍い衝撃と共に淡い胃光を放つ光の球体が高速で宙を飛ぶ。それらはまっすぐ少女たちの群れに吸い込まれていくと、ドンッという爆音が響き少女たちがばらばらになる。
 どうやら一~二体は撃破したらしいが、ほとんど逃がしてしまった。


 「想定内」


 とりあえず、まずは右側にいる翼の少女を殲滅することにした。
 まっすぐそっちに向かいながら両手からエネルギー弾を連射する、何十発も向かって行くがこれには追尾機能がない。それでも何発かは命中して三人ほどの翼の少女たちが死んでいく。
 だが犠牲を残しつつも、数人の翼の少女はデルタに接近し、刀を振るって攻撃を仕掛けてくる。


 「…………」
 「遅いネ」


 デルタは急いで右手の前腕部の装甲を一部展開すると、腕からエネルギー刀を発生させる。
 首元を狙ってヒュッと振られた刀を少しだけ高度を下げて躱すと、腕を振るって刀で少女の腹部を切り裂く。ズバッという心地よい音が響き、体が半分に切り裂かれる。傷跡から血と内臓が吹き飛ぶが、それらも一瞬の間に消える。
 死体は粒子と化しながら地面へと落ちていく。
 その陰から別の少女が二人、刀を振りかざして襲って来る。隙を狙ったつもりらしい。


 「フンッ!!」


 デルタは鼻で笑うとそちらに目を向ける。そして、モードをさらに切り替え、内部で眼球を入れ替える。すると瞳が鈍い光を放ち、真っ赤なビームを二筋放った。少女たちはそれで頭部を撃ち抜かれるとそのままぐったりとして動きが止まる。
 デルタは目の砲門を閉じると、一番後ろにいたもう一人の少女の方に目を向ける。
 翼の少女は光弾を顕現すると、それをデルタに向かって放った。


 「勝っタ」


 デルタは腰に手を当てるとそこにある小型レーザーの銃口を向け、光弾を撃ち落とす。レーザーと光弾が宙でぶつかり合うとドォンという鈍い音がして、周囲に爆煙が広がる。だがデルタは向こう側にいる少女の姿が見えていた。
 なので狙いをつけると、左掌を向けるとエネルギー弾を放つ。それは視界を奪われてた少女に見事命中し、爆殺させた。これで敵の半分は殲滅したことになる。それを確認して満足そうに頷いた後、デルタは残った敵の方に顔を向ける。


 「よシ、次」


 方向を転換すると、そちらに向かって行く。
 負ける気などしなかった。