そんな声が辺りから大量に上がる。
 だんだん言いようも知れぬ恐怖感、未知の存在と出会った不思議な感覚に慣れていったのだ。目の前にあるのが全く持って別次元の怪物ではなく、何かここにあるものだという認識が芽生えてきたのだ。
 やがて人々は持ち前のマイペースさで完全にこの状況に適応していった。
 写真に撮りツイッターに上げる、電話で友達に話して見に来るように誘い始める。
 どこにでもある日常の一コマがそこには切り取られていた。


 だがそれも終わりを告げる。
 空中に新たな影が現れる
 全身真っ黒で顔には赤い二つの目が怪しく光っている。まるで不定形の体に、どす黒い剣を握っていた。風が吹くたびに魔力のかけらが吹き飛ばされ、キラキラとした光の尾を描いていく。
 それは原初の魔法少女だった。
 彼女はゆっくりと剣を天に掲げると誰にも届かない声で言った。


 『さぁ……世界よ、終われ』



 それと同時に地面に降り立った一人の天使が刀を振るうと、目の前にいた少年の首を切り飛ばした。
 まるで豆腐でも切るかのようにあっさりと首が飛ぶ、惚けた顔のままの少年の生首が宙を舞いゴロリと転がる。傷跡から血が噴き出すと、そのまま体から力が失われ、ゆっくりと崩れ落ちていく。
 あっという間の出来事に誰も反応できなかった。


 隣にいた母親も顔の半分を血で染めたまま、前を向いたままピクリとも動かない。
 だがそれも一瞬のことだった。


 「キャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」


 誰の物か分からない悲鳴が上がる。
 それをきっかけとして周囲の天使たちも刀を振るうと手近にいる人を殺し始める。