いわれた通りにやってみることにすると、目を閉じて意識を集中する。
 そうすると、ゆっくりと体の内側から暖かいものがこみ上げてくるのが分かった。それをとどめることなく解き放つ。それらは、自分の周囲で渦巻くように動くと、明るい色をした球体を生み出す。
 その内部でマリアは自分の着ていた服が消え、全く別の何かが身を纏ったことに気が付いた。
 目を開いて、それが何か確認しようとする。
 それと同時に球体がはじけ飛ぶと、ガラリと変わったマリアの姿が目に飛び込んでくる。
 マリアの麗装はそこまで派手なもので無かった、だが普通の服装とはかけ離れたもので、テレビなどでよく見る魔法少女に見えなくもなかった。初めて着るにもかかわらず、それを完全に着こなしていた。


 ユウキはその姿を見ると「へぇ」と感心したような声を出す。


 「似合ってるじゃん」
 「え……そ、そう?」
 「よし、これで準備が整ったな。色々教えるからな、行くぞ」
 「お願いね」


 ユウキはまず、空中浮遊の方法から教えた。マリアはそれを一瞬の間に覚えてしまった、重力干渉波を自由自在に出して高速で宙を舞えるようになる。次に光弾の出したかも教えると、あっという間に習得する。
 もちろんそれはそうなるように達也が設定して作り上げたのだから当たり前のことなのだが、少し感心してしまう。
 さらに武器を顕現する方法を教えた。
 マリアはそれに従って、手をかざして魔力を集中させてみる。
 すると目の前に一本の剣が生み出された。少し消息の派手な中世のロングソードといった姿のそれは、少し大きめだったものの、簡単に扱うことができた。肉体強化のおかげである。
 柄を握り、それを何度か振るってみる。
 ヒュンッという風を切る音が心地よい。
 ユウキはウンウンと何度か頷いてからこう言った。


 「よし、これで大体は終わりかな」
 「え、こんなもの?」
 「光弾とか能力とかもあるが、達也が言っていたようにお前はまだそこら辺を扱いきれていない。実戦で覚えろ」
 「…………気乗りしないけど……分かったよ」


 顔をうつむかせてそういう。正直、まだ決心がついていなかった。しかし、ユウキやそんなことを気にしない。トンっと地面を軽く蹴って飛び上がると、そのまま爆煙の方へ向かって飛んで行く。
 一連の動きには全くよどみがなく、流れるようだった。
 マリアはそれに驚いて声を上げる。


 「ちょっ………」
 「おいてくぞー」
 「……もぅ……ヤダ」


 いっそのこと帰ろうかと思うが道が分からない。
 マリアはユウキの後にくっついていくほか選択肢などなかった。