デルタはご満悦だった。
 左足の太もも部分に装備していた小型ミサイルで残った敵を殲滅して満足していたのだ、本当は一体ずつ丁寧に処理していきたかったのだがそうはいかない事情があった。別の魔力が接近していることに気が付いたのだ。
 おそらくは、さっきまで戦っていた翼の少女たちに命令を下していた一軍なのだろう。ということは司令官を務めている翼の少女か魔法少女がいるはず。
 となると、下手に時間をかけて戦うよりはさっさと終えてしまい、そっちの方に意識を集中させたかった。
 顔を上げて援軍が来ていると思われる方を見る。
 すると絶望少女が五体、翼の少女が十体ほどの群れであることが分かった。やはり、と言っては何だが被っている仮面の種類が明らかに違う少女が一人いた。仮面に真っ赤な目が描かれているのだ。
 あれは司令官の証である。
 あいつを倒すことができれば圧倒的に優位に立つことができる。
 デルタは少し腰を落とすとすぐにでも飛び出していこうとする。
 だが、それを止める声が一つ。

 「デルタ!!」
 「ン、二人とモ、待ってたヨ」


 ユウキはデルタの隣に降り立つ。マリアはその少し後ろに着地したものの、干渉波を止めるタイミングをミスって転んでしまった。ドテッという間抜けな音をして思いっきり鼻を地面に打ち付けてしまう。
 幸いシールド張っていたので大したことはなかったが、心は少し傷ついた。
 二人はちらりとそちらの方を見たが無視して話を続ける。


 「で、敵は?」
 「最初に来たのは全滅させタ」
 「早いな。それで?」
 「援軍がそこまで来ていル」
 「そうか」


 デルタが指さす方向にユウキも顔を向ける。そして敵の数を把握すると、どうするかを少し考える。今回の目的はマリアのデビュー戦を援護すること、つまりはマリアが戦えなくては意味がない。
 作戦を決めると、ユウキはそれをデルタに伝える。


 「頼みがあるんだが」
 「何?」
 「ザコどもを蹴散らしておいてくれないか? 司令官は俺が引き受ける」
 「分かっタ」
 「で、一体だけ隔離するからマリアと戦わせたいんだ」
 「そういうこト。ならいくらでも協力すル」
 「よし、それで決まりだ。いいなマリア」


 後ろを向いてそう尋ねると、マリアは頬を膨らませ不貞腐れたまま答えた。


 「……どーせ拒否権無いんでしょ」
 「分かってるじゃん」
 「ふざけないでよ」
 「ふざけてない」
 「でしょうね」
 「こいつ舐めてんのか」
 「何よ」
 「落ち着いテ。そんなことしている場合じゃなイ」


 また喧嘩になりそうだったので、それを止めた。二人は不満そうな顔をするがデルタが言うことはもっともなので、口をつぐんでジッとにらみ合うだけにとどめる。嫌な空気が流れるが、それはもうしょうがない
 自分が何をするべきか理解したデルタは、もう一度飛び上がると、掌を向けてエネルギー弾を放射する。
 それは一体の絶望少女に命中し、ドンッと爆発音を響いた。