そう言って一つしかない椅子に座り込む。
 マリアはユウキに対して白い目を向ける。少しだけ悪いことしたかな、という思いを抱くが、自分も疲れているので席を譲るつもりなどこれっぽちもなかった。それゆえ、マリアは立ったまま話をすることになった。
 達也は白衣のポケットから量産型コアを引っ張り出すと、それをいじくりながら話を始めた。


 「いいか、こちらの目的は世界を救うことと言ったな。その具体的な方法を教えようと思う」
 「何よ」
 「こちらの目的は大きく分けて二つ、一つは翼の少女を全滅させることと、原初の魔法少女を殺すことだ」
 「それで?」
 「翼の少女を全滅させるには方法が二つあってな、が原初の魔法少女を殺すことと、翼の少女の本体を殺すことだ」
 「え? どうして?」
 「この間も話をしただろう、一人の少女が何人にも増やされたのが翼の少女だろう。この能力には二つの弱点があってな」
 「それは?」
 「一つは能力者が死亡したら、増えた物体が消滅するんだ。それと、増えた物体の本体が死亡しても消滅するのさ」
 「……なるほど」
 「そうすれば、情勢はガラリと変わる。翼の少女がすべて消えれば、こちらの勝ちは決まったようなものだからな」


 納得した。
 だが、殺すという単語が非常に気にかかる。なんだか受け入れることができないのだ。
 達也はもう一個新品の量産型コアを引っ張り出すとそれを投げつけた。ユウキは待ってましたとでも言わんばかりにキャッチすると、そこにある赤いボタンを押して魔力を回復させる。


 「いいか、翼の少女の本体……俺たちはアリヤと呼んでいるのだが、そいつの捜索は魔法少女の一人が担当している」
 「ということは……原初の魔法少女を見つけることが、わたしたちの仕事?」
 「その通り、だが、戦ってはいけない」
 「え?」


 意味が分からない。
 さっきまで殺せ殺せと言っていた割には戦うなという。
 その意図を計りかねて困惑するマリア。その答えは単純だった。


 「原初の魔法少女――アリスと呼んでいる――そいつは相手の能力をコピーする力を持っている。だから下手するとマリアの能力をコピーされるかもしれない」
 「それって……マズイの?」
 「マズイ」


 即答だった。
 達也は深刻な顔をすると言った。


 「いいか、君の能力はこの世で唯一アリスを殺すことができる。だがコピーされ、対策されては意味がない」
 「そうなの……」
 「だから逃げろ。アリスを見つけたら躊躇なく、な」
 「…………」


 それはなかなかありがたい申し出だった。
 個人的には積極的に戦いたくないのだ。
 そんなことを思っている間にも達也は話を続ける。