「しかしな、君はアリスを殺すことのできる唯一の魔法少女でもある」
 「またそれ、いったいどういう意味なの?」

 呆れた声でそう尋ねると、達也は答えた。

 「少し難しい話をするぞ」
 「分かった」
 「いいか、アリスの持つ生き返る能力、これの仕組みは単純だ。肉体が生命活動を維持できなくなった瞬間に、全身を粒子化、そしてあらかじめ用意しておいた別のコアを依り代にして肉体を再構築する。だが、これにはある特徴があることが分かった」
 「特徴……?」
 「そうだ。本来、粒子化というのは魔力を使用しすぎた魔法少女が、肉体を維持している生命エネルギーまでもを利用して魔力を捻出した結果に起きる現象だ。つまり、普通の人間が死んでも起きないのさ」
 「へー……そんなことが」


 初耳だった。
 難しい話だが、スラスラと頭に入って来た。


 「だがな、アリスの蘇生能力の場合少し違う」
 「どういうこと?」
 「彼女の場合は、粒子に生命エネルギーが詰め込まれているのだ」
 「え?」
 「肉体を再構築するために、残った魔力を全て粒子に置換している。つまり、これを封じることができれば蘇生はできないということだ。それを封じることができるのが、君の能力ということだ」
 「……魔力吸収」
 「その通りだ。それなら、粒子化する前に彼女の魔力、および生命エネルギーを完全に吸い取ることができる。それで勝ちだ」
 「でも、それならどうして戦っちゃいけないの?」


 もっともな疑問だった。
 達也はゆっくりとそれに答えた。


 「さっきも言ったろう、確実に殺せる時でなくてはいけない、そういうことだ」
 「あー……そういうことね」


 完全に理解した。
 達也はこれで話が終わりとでも言いたげにこう言い放った。


 「よし、俺は戻るぞ」


 達也は背を向けて部屋から出て行こうとする。
 聞きたかったことのあったマリアは、急いで声を上げると呼び止めた。