「……ごめん、寝てた」
 「別にいいぞ、それより夕飯食べるか?」
 「うん……食べる」
 「じゃ、どうぞ」


 そう言って達也は弁当を差し出してきた。中にはオムライスが詰まっていおり、いいにおいをしていた。ケチャップもすでにたっぷりかけられており、プラスチックのスプーンも用意されていた。
 ユウキはすでに半分ほど食べていた。
 正直なところ腹は減っていなかったのだが、何でもいいから食べなくてはやっていられなかったのだ。
 スプーンですくって黙々と口に運んでいく。
 食べている間は二人とも無言になってしまう。
 十分もしないうちに食べ終えたマリアは目をキラキラさせながら感動した声で言った。


 「おいしい!!」
 「だろ?」
 「なにこれ、初めて食べた!!」
 「当たり前だろ」
 「そうだね」


 そう言われればそうだった。
 マリアは空になった弁当箱を机の上に置きながら話しかけた。


 「ねぇ、一ついい?」
 「なんだよ」
 「これって、誰が作ってるの?」
 「え、達也のおっさん」
 「え?」


 あまりに予想外の答えに、おかしな声を出して呆然としてしまうマリア。予想通りのその反応に、ユウキは笑いを堪えることができず、ハハハハハハと大声で笑いだす。それで少しムッとする。
 笑いながらもユウキは説明を始める。


 「ここにいて料理できるのは達也だけ、というかまともな人間は達也しかいないからな。あいつ以外いないだろ」
 「嘘でしょ……あんな奴がこんな美味しい物作れるなんて」
 「ま、そんなこと言ってやるなよ」
 「え?」


 意外と好意的なことを言うユウキだった。
 てっきりユウキも達也のことを嫌っている物だと思っていたのだが、どうやらそこまででもないらしい。一緒に持って来ていたお茶を一口飲んでから、まるでマリアを諭すように話を始めた。


 「達也のおっさんは非情な奴だが酷い奴じゃない。最低な奴だが最悪な奴ではない。あいつだって血の通った人間だからな、俺たちのことを兵器兵器と繰り返して言っているが人間らしい暮らしをさせてくれている、違うか?」
 「まぁ……そうだけど……」
 「つまりはそういうことだ」
 「………分かった」


 一応は納得できた。
 だが、第一印象が悪すぎてどうも考えを変えることができない。
 渋い顔をしたまま、マリアはジッと床を見続ける。