ユウキはそんなマリアの姿を見て、自分の話を始める。


 「俺はな、お前と同じ実験で生み出された超能力者だ」
 「それって……どんな?」
 「魔法少女は不幸な少女のコアが変質してなるって知ってるよな」
 「あー、そういえば……」
 「で、俺はそれを男でやるとどうなるかという実験で生まれたのさ」
 「え…………」
 「あらかじめコアに一定の強度を持たせておいて、そこに多量の魔力を照射した。結果、俺は超能力者として生まれたのさ」


 「…………」
 あまり聞きたくない事実だった。
 しかし、いつかは知らなくてはいけないことなのだろう。そう考えると、今のうちに知ることができていいともいえた。かける言葉が見つからず、ジッと黙り込むマリア。ユウキも何も言う気になれなかった。
 二人はしばらくの間、気まずい空気の中で過ごす。
 それに嫌気がさしたユウキは大きく伸びをすると言った。


 「よし、俺は寝る」
 「……え?」
 「じゃ、お休み」
 「え、えーと、うん。お休み」


 そう言い残してさっさと布団に潜り込んでしまう。
 マリアは何となく空気を持て余してしまい、少しの間お茶を飲みながらのんびりとしていた。だが、特にやることもないので同じように寝ることにした。
 布団に潜り込むと、すぐに眠気が襲って来る。
 すっきりとした寝つきだった。


 スースーと寝息が聞こえてくる。


 ユウキはそれをBGMにしながら、目を閉じて考え事を続ける。何となく、生まれてこれからのことを思い返していた。と言っても、三年間にわたる戦いの記憶ばかりである。大したことはない。
 だが、どう考えてもマリアのような思いを抱いた覚えがない。


 罪悪感とか


 人間だとか


 改めて考えてみると不思議な話である。
 ユウキは自信を持って自分が人間であると言えなかった。それは、もちろん超能力者という特異体質であることも理由の一つであるが、それ以上に普通の人間らしさというのがどういうものなのかよく分からなかった。
 生まれて最初の一年は超能力を磨き、勉強に明け暮れた。
 次の一年は今は亡き優希と共に絶望少女と戦ったり、達也の手伝いしたり
 今では世界の命運を握る最終兵器だ。


 これが人間の生活か
 そんなことはないだろう


 自分についてもっと考えてもいいのかもしれない
 ユウキは眠りにつく直前にそう思った。