詩音はマリアに向かって言った。


 「いいか、地面に降りるなよ!!!」
 「え?」
 「朱鷺!! どれぐらいだ!?」
 「分からん!! だがそこまで多くない!!」
 「よし、なら全滅させるぞ!!」
 「分かった。仕掛ける!!」


 その次の瞬間
 周囲の木々から何人かの翼の少女が飛び出してきた。
 こちらに攻撃を仕掛けて来たのかと思いきや、どうやらそうではないらしい。なぜなら、彼女たちの体には白い紙が大量に張り付いているのが分かった。どうやら、それから逃げようとしているらしかった。
 しかし、そう簡単に逃がすわけがない。
 一方の詩音は能力を発動すると、自分を中心として氷を張り巡らしていく。パキパキパキという冷たい音がして、まるで凍土のようになっていく。それは一瞬のうちに木々の影に隠れていく。


 すると、木の陰に隠れて式神から逃げることができた数人の翼の少女たちがそれに捕らわれて凍り付いていく。
 狙い通りだった。
 その間に宙を舞っていた翼の少女たちは完全に動きを封じられて、数体は重力に引かれるとゆっくりと落ちていく。
 朱鷺は近くに数体に落ちてきた二つの白い塊に向かって七節棍を伸ばすと、式神越しに貫き殺した。グチャリという肉が潰れる音がして、ジワッと血が滲み出る。だがすぐに粒子化して消えてしまう。
 少し赤くなった式神がまるで雪のように降り注ぐ。
 詩音は地面から手を離して飛び上がると、掌から氷柱を伸ばすとそれで近くに落ちてくる敵を突き殺していった。
 一仕事終え、ふぅと息をついてから首を回すとマリアに話しかける。


 「マリアもやれよ」
 「え……でも……」
 「あ、まだ抵抗ある?」
 「……ちょっと」
 「ならいいや。徐々に慣れな」
 「そうします」


 そう言ってから、周囲に落ちた残りの翼の少女を殺しに行った。結果、五分も経たないうちに初めに現れた敵は全滅した。
 圧倒的だった。
 これだけでマリアは分かった。この二人は相当強い、能力を使いこなしていて、連携プレーも見事に成り立っている。
 自分なんか入る隙間もなかった。
 朱鷺と詩音は先頭のトラックの前に降り立った。


 「やったぜ!!」
 「……いや、ちょっと待て」
 「なんだよ」
 「敵が来る」
 「んなわけ」


 そこまで行ったとき
 ドゴンッという音がして宙から一体の絶望少女が降り立った。
 身長3m程度、まさに巨人と言った見た目で両手は地面につくほど長かった。さらに、腰のあたりからびっくりするほど太い尻尾が一本生えていた。両肩には大きな翼が生えており、どうやらそれで飛んできたらしい。
 その絶望少女は体をのけぞらせ大声で叫ぶ。


 「グギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
 「なんだこいつ」
 「ふむ、殲滅するか」


 朱鷺は一本の七節棍を顕現すると、それを両手に持って構える。詩音もハンマーを生み出し、いつでも振るえるようにする。マリアはどうすればいいのか分からず困り果て、手持無沙汰で震えている。