しっかりと中段の構えを取ると、そのまま少し前かがみになって宙を飛ぶと翼の少女たちに向かって行く。


 「ああああああああああああああああああああああああああ!!!」


 やけくそになり、大声で叫ぶ。
 翼の少女たちはその姿を見ると、散開する。
 二人が左右に、残った一人が刀を突き出すようにそのまま突っ込んでくる。どうやら、かわす気など全くないらしい。マリアはとりあえず目の前の翼の少女から片付けることにした。


 「ああああ!!!」
 「…………」


 先に動きを見せたのは翼の少女だった。
 ヒュッと宙を切る音がして、刀が突き出される。それは寸分違わず首元を狙って来ていた。
 手首だけをサッと動かすと、剣先で刀を弾いた。そのせいで狙いが外れた刀は、そのまま首筋をかすっていく。一方で、翼の少女の懐に入ったマリアは、そのまま腕を大きく振るうと翼の少女を真っ二つに切り裂く。
 腹が裂けて、力を失った上半身がマリアに向かって倒れ込んでくる。


 「ヒッ!!」


 マリアは思わず後ろに下がると、それを躱してしまう。
 その姿は隙だらけで、格好の的だった。
 左右に分かれた翼の少女のうち、右に行った少女が刀を振るうとマリアの首を落とそうとする。ちらりと左目の端でそれを確認したマリアは、咄嗟に腕を振るうと剣で刀を受けようとする。
 ところが、その少女は思いもよらない行動をとった。
 パッと手を放し、刀を消すと右足を上げ、剣を蹴り上げたのだ。ガキンッという音がして腕が跳ね上げられてしまう、まるで万歳のような格好になってしまった。完全にやられてしまった。
 少女はもう一度刀を生み出すと、それでマリアを突き殺そうとする。
 このままでは簡単に逃げることはできない。


 「ヒィッ!!??」


 このままでは突き殺されてしまう。
 そう思った瞬間、マリアの脳内はたった一つのことでいっぱいになった。
 死にたくない。
 その時、突然声がかかった。


 「マリア!! 瞬間移動をするんだ!!」
 「――ッ!?」


 誰の声か分からないが、マリアは無意識のままそれに反応した。
 一瞬の間に大量の魔力を放出すると、姿が消える。翼の少女はそのまま虚空に向かって攻撃を仕掛けた。だが、それは見事なまでに無意味な行動だった。少女はマリアの姿が消えたことに困惑し、動きをピタリと止めると顔をキョロキョロとする。
 マリアは、数m後ろに飛んでいた。
 咄嗟に思いついた場所が底だったのだ。おそらくこれが座標を指定するということなのだろう。
 感覚だけだが、マリアは瞬間移動の発動に成功した。


 「これが……瞬間移動」
 「その通りさ」
 「クライシス!! どこにいたの!!」


 さっきの声は彼のものだった。