一方のデルタはビーグルに乗って道を進んでいた。
 アクセルを思いっきり踏み込み、最高速度を出している。彼女はフレイヤ達のいた駐屯所で魔力の補給をしていたので遅れてしまったのだ、そのせいでフレイヤは一人で戦っている。
 彼女はそのため、援護に向かっているのだ。
 それでももうすぐ辿り着くはずだった、なぜならさっき撤退している軍隊とすれ違ったからである。また、両目のズーム機能を利用して翼の少女が集まっている姿を確認できた。


 「ここら辺でいいかナ?」


 デルタはそう呟くと、ビークルから降りる。
 ちなみに、このビークルというのは達也がデルタ専用に作った次世代三輪高機動車両だった。時速百kmレベルを簡単に出すことができ、バイク以上の機動性を誇る。また、デルタ専用の武装を搭載できるようにもなっている。
 ほかにも、ビークルにも多少銃火器が搭載されているので、強行突破も多少可能である。
 デルタはブレーキをかけてビークルを止めると、一度降りて武装を切り替えることにする。
 後ろにある四角い箱を開く。すると、中にはいくつもの武装が転がっていた。デルタは切り替える前に左腕を掴むと、肩のジョイント部分を切り離す。そして腕を投げ捨てると代わりに武装を取り付ける。
 それはさっきまでの腕とはまた違うものだった。サイズが一回り大きく、より多くの火器を内蔵していた。
 また、奥の方にあるバックパックも手に取るとそれを背中に取り付ける。これで滞空時間が増えるはずだ。


 「準備良シ」


 満足そうに頷く。
 だが、あまり優越感に浸っている時間はない。
 腰を低く構えると、バックパックを起動する。ガションという音が鳴り、装甲が開くとブースター顔をのぞかせる、同時に太もも部分のブースターにも火が付いた。これでいつでも飛ぶことができる。


 「行っくヨー」


 ドンッという音がして、真っ赤な火が噴き出す。
 同時に地面を蹴ると、超高速で飛び上がる。
 そのまま白い煙を吐きながら、まるでジェット機のように空を舞う。その間に左腕の装甲を展開すると、大量のレーザーの砲門を開く。全て銃口が元のものと比べて何倍も大きかった。
 デルタは特に狙いをつけることなく、一斉に発射する。


 「ファイヤ!!!」


 その声と共に大量のレーザーが宙を舞い、翼の少女たちに襲い掛かる。適当に放たれたそれらだが、密集している少女たちに吸い込まれていく。照準など合わせる必要はなどない、放っておいても勝手に当たるからだ。
 フレイヤの銃撃も合わせて一気に大量の少女たちも灰となり消えていく。




 「やっと来たわね」


 赤い熱線が飛び交う宙を見て、フレイヤはホッと一息つく。さすがに面倒だったので、これで相当楽になるはずだった。
 一旦右腕の銃を下ろすと、そこに量産型のコアを取り出す。それで魔力の回復をする。これでまだまだ戦うことができる。


 「あなた達、援軍が来たわ。これで撤退できるでしょ」
 「拒否する」
 「……邪魔なのに」
 「なんか言ったか!?」
 「邪魔なの!!」


 もう一度銃を構え直し、迎撃を続ける。
 仕切り直しだ。