「さて、今日の仕事は少し面倒だ」


 達也はそういうと、空中に投影した地図にレーザーポインターを当てながら解説を始める。すでに戻って来たフレイヤとデルタを含む六人が集まっていた。マリアはフレイヤとは初対面だったが、挨拶をする暇はなかった。
 というかそんな心の余裕はなかった。
 テキパキと話を解説を始める達也


 「いいか、ここから数十km離れたところにある大規模な絶望少女の駐屯基地を狙って国連軍の一個師団が進軍する予定だ。目的は研究所まで輸送経路を確保するためだ」
 「そこまでする必要あるのかしら?」
 「正直、空路と危険な陸路では限界がある。マリア誕生の際に送り込まれた研究員の乗ったヘリが落とされたのさ、向こうはそれにたいそうご立腹だ」
 「そうなの」


 また自分のせいで人が死んだ。
 マリアは嫌な気分になった。
 だが、そんなことには気が付かずに達也は作戦を伝え続ける。


 「で、君たちにはその先鋒を務めてもらいたい」
 「面倒ね、何で自分たちだけで遂行できない作戦を決行するのかしら」
 「俺に聞くな」
 「あなたが命令してるんでしょう?」
 「まぁそうだが」


 悪びれもなくそう言い放つ
 それを聞いて全員が「はぁ」とため息を吐く。達也が作戦を決める分には問題ないのだが、そのけつを拭くのはいつもフレイヤ達なのだ。ため息の一つや二つ吐いても許されるだろう。
 場の空気は最悪だ。
 それでも達也は気にしない。


 「この間、フレイヤとデルタのおかげで柳葉町にいた敵の大半は撤退した。おかげでここをがら空きにしても問題なさげだ」
 「でも、アリスはいつでもここを狙っているでしょう?」
 「ウタゲと一条が代わりに防衛してくれるそうだ」
 「あれ、アメリカにいたんじゃないの?」
 「部隊が壊滅したらしい」
 「ハハハハハハハハ!! それは傑作だ!!!」
 「笑えん」
 「うるせぇ、石頭」
 「黙れ詩音」


 魔法少女三人組が達也と談笑を続けている。
 マリア達ははっきり言って手持無沙汰だった。


 「さてと、分かってもらえたかな?」
 「分かったわ。私たちは、先に攻撃を仕掛ければいいのね、いつ行けばいい?」
 「今すぐ」
 「場所は?」
 「アリーナだ。吹き抜けタイプの」


 そう言って戦争が始まる前の参考画像を表示する。
 確かにそこそこ広い場所だった。ここを中心として、結構の数の敵が集まっているらしい。久しぶりの大規模戦闘になりそうで、フレイヤたちはこれからの戦闘が非常に楽しみだった。
 しかし、どうもテンションの上がらないのがマリア達
 ユウキはマリアのことが気がかりだし、デルタは二人の様子がおかしいので、どうにも身が入らない。
 フレイヤはちらりとそちらを見る。
 彼女は何となくそのことを察していた。


 「さて、みんな、行きましょうか」
 「量産型コアを忘れるなよ」
 「分かってるわよ。五分後に出発ね」


 こうして解散した。