それと同時に胸がチクリと痛む。この痛みは何なのだろう、嫉妬や後悔などという感情は今この場では関係ない。少し考えてみる。この痛みの正体について。フレイヤも何か考えているようで話しかけてこない。
 おかげでマリアは答えにたどり着いた。
 自嘲して、傷ついているのだ。
 訳が分からない。
 本当に
 マリアが混乱している間にフレイヤは考えをまとめたらしく、話を始めだした。


 「なら、あなたは自分のために戦ったらどう?」
 「え?」
 「だから、自分のため」
 「自分の……ため?」


 どういうことなのだろうか
 言ってる意味が分かるようで分からない。自分のために戦うということが、果たしてどんな意味があるのだろうか。フレイヤはウンウンと頷いて自分の言ったことに満足しているようだった。
 当事者はこっちだというのに
 マリアが困っているとフレイヤはこう言った。


 「あなたに何もないと言っても、自分はあるじゃない」
 「それは……」
 「自分のためにあなたは戦えないの?」
 「戦えると……思います」
 「なら、やって見なさい」
 「…………」


 命令口調
 しかし、嫌な気持ちにはならなかった。逆にやれるだけやってみるかという気持ちにはなった。
 一つ、どうしても聞きたいことがあったので尋ねることにした。


 「フレイヤさん」
 「何?」
 「あなたは……なんで戦っているんですか?」
 「私? フフフフフフ」


 愉快そうにそう笑う。
 少しの間そうしていたが、すぐに空虚な顔に戻るとこう言った。


 「仇」
 「え?」
 「原初の魔法少女は……私の大切なものをすべて奪っていった」
 「――ッ!!」
 「この十年、私は復讐のためだけに生きてきた」
 「……フレイヤ……さん」
 「絶対に許さない」


 きっぱりとそう言い放った。
 マリアはその姿に恐怖感を覚えた。真っ黒な瞳、どこに繋がっているのか見当もつかない。その奥に地獄の窯の蓋があると言われても、手放しで納得してしまいそう。背筋の奥から悪寒が走り去っていく。
 フレイヤはすぐに元のニコニコ笑顔に戻ると優しげに言った。


 「さぁ、急ぎましょうか」
 「あ、そうですね」
 「あなたまだ経験少ないでしょ? 今日は私が前に出るから、サポートお願いね」
 「え?」
 「フフフ、腕が鳴るわ」