その言葉を最後に、フレイヤは再び両腕を上げると引き金を引く。
 それと同時に周囲にあった銃火器も一斉に火を噴く。全身を揺るがすほどの銃声が鳴り響き、数えきれないほどの銃弾が全てまっすぐアリスに向かって飛んで行く。フレイヤからすると慣れた光景だが、なかなか圧巻だった。
 アリスはそれを見ると、対抗するべく大量のナイフを顕現した。
 銃弾と同じ数だけのナイフがアリスの背中からどこからともなく出現し、飛んで行くと銃弾と正面衝突していく。


 すると命中するたびに、バキンッという儚い音をたてていく。
 銃弾とナイフ、そして魔力の欠片が周囲に舞い散っていく。世にも奇妙な雨あられだった。その中を、フレイヤは銃を連射し続ける。じっと前を見て、アリスのことを睨む。毅然とした格好で姿勢を少しも崩すことなく銃を構え続ける。しかし、その体には少しずつ異変が起きていた。
 髪の毛の先から、足の指からゆっくりと体が粒子と化して消えているのだ。
 魔力が限界を迎え、粒子化を起こしているのだ。
 アリスはそれに気が付いているのか、轟音の中でも届くように脳内に直接語り掛けてくる。


 『ハハハハハハハハハハハハ!!! あなたは死ぬ!!! 死ぬ!!! ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!! 死ね!! 死ねっ死ねぇっ!!!!』


 そう言ってより一層攻勢を強めるフレイヤ。さっきまでとは一転変わりフレイヤが自分を殺されないように必死に銃を撃つこととなった。アリスは両手に剣を握ったまままっすぐフレイヤに向かって行く。
 彼女を見ながら物思いに耽るフレイヤ
 今の姿からはあのとき屋上に見たアリスとはこれっぽちも似ていなかった。しかし、何となく雰囲気だけは似ているなと思った。数多の銃とナイフに囲まれて、まるで女帝のように悠々と向かって来る。
 だが、誰がどう見ても悲し気な少女のようにしか見えなかった。


 どうしてなのだろうか


 見当がつかない。


 だが、フレイヤはそう確信していた。彼女はどこまでいっても一人ぼっちで、不幸なのだろう。


 「哀れね」


 その声は銃声等にかき消され、誰の耳にも入らなかった。