フレイヤは笑みを浮かべたまま自分の死期が近づいていること気づいていた。服に隠れているだけで、既に体の四割は粒子化して消えてしまっている。というか麗装も端が少しずつ減っていっている。
 もう魔力は尽きていると言っても過言ではなかった。
 それなのに、フレイヤは攻撃の手を止めなかった。銃の数を減らすわけにはいかない、今、攻撃を続けているからこそアリスは自分に釘付けになっている。もし少しでも隙を見せたら彼女はマリア達の方に向かってしまう。
 それこそ最悪の事態だった。
 ここが自分の死に場所だ。


 死ぬのは怖くない。
 レイや家族のもとに行けるのだと思えば逆に喜ばしいものだ。



 「あとは、頼んだわよ」


 小さくそう呟く。
 アリスはフレイヤの体が限界を迎えていることに気づき、焦るといきなり速度上げて向かって来る。自分の手で切り刻んでこそ初めて人を殺したと実感できる、アリスにとってその感覚は至高の物だった。
 少しも妥協するわけにはいかない。
 アリスは剣を振りかざし、すぐにでも攻撃を仕掛けられるようにしている。多少の銃弾は喰らい、突き進み続ける。


 『殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
 「さよなら」


 その言葉を最後に、フレイヤの魔力は完全に切れた。
 ボロッという静かな音がたち、ピシッと顔に亀裂が入り、綻びていく。足元から粒子と化した肉体が消えていく、それに合わせて麗装もなくなっていく。しかし最後の最後まで両手はしっかりと銃を握っていた。
 首から上もゆっくりとボロボロとなる。皮膚が消え、頭蓋骨がゆっくりと削れて行って、中に詰まっていた脳味噌もなくなる。そこまで行くのに五分もかからなかった。
 もう残っているのは両腕の手首から先だけだった。


 『ああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!』


 アリスがフレイヤの目の前まで来た時
 バンッという音をたてて最後まで残ったフレイヤの両腕がはじけ飛んだ。
 それと同時に火を噴いていた銃火器が一斉に動きを止めると、重力に引かれて地面に転がっていく。ガタガタガタガタという激しい音が騒がしく響く。アリスは既にナイフの攻撃を止めていた。
 ゴミのように銃が横一線に転がっている。
 その中央にサブマシンガンが二丁、他の銃の下に敷かれることなく置かれている。