「起きて」
 今度は女子高生に起こされた。
 寝起きの頭でふと思ったことは、現在、彼女はセーラー服姿ではなく、アキコから借りたパジャマを着ているので、女子高生と呼ぶのは正しいのだろうかということだ。そもそも、彼女を女子高生として認識している理由は彼女自身の様相とセーラー服のみであり、実際にどこぞの高等学校に通い、勉学に励む女子高校生である確証はなにもないのである。
 そんな事を考えていると、「ねえ、みそか、ちゃんと起こせた?」とアキコの声が響く。
「みそか?」
「私」
 それはパジャマ姿の女子高生の名前、ということか?
 まっすぐ居間へ向かうと、テーブルの上に三人分の朝食が並んでいた。
「おお」感動し思わず声が漏れる。
「特別な物は無いけど、いいでしょ」
 昨夜は適当な惣菜で済ませていたし、最近は碌な物も口にしてなかったからテーブルに並ぶ白飯と焼き魚に味噌汁、そんな普通の朝食が偉くごちそうに見える。
「じゃあ、いただきます」アキコの合図で合掌し食事を始める。
 一口、二口と食事を進める。
「うまい、これ全部アキコが作ったのか」
「みそかの手伝いも貰ったけど、まあ作ったと言えるほどの物でもないよね」
 いや、大したものである。
「ところで、みそかってなんだ」
「私が考えた、女子高生の名前だよ。大みそかに出会ったから、みそか」
「みそか」改めて言葉にしてみるが、微妙に言いづらい。
「ねえ、これからどうするか考えた?」
「そうだな。女子高生、いや、みそかでいいのか?」
「うん」女子高生が頷く。この瞬間から彼女はみそかだ。
「何か思い出したことはないのか?」
「特に」首を横に振る。
 彼女がもし、ただの家出少女だったならば、警察に差し出すし、記憶を失ったというのなら病院へ連れていくのだが、謎の変身能力が付いているのだから対処に困る。
「それなら悪いが、先に解決したいことがあるんだ」
「何?」
「当面の生活資金を工面する。アキコの世話になるのは今朝までだ」