寂しい人達とナンパ男達

 新年のご来光は、顔に刺す光を手で遮りたくなるほどの輝きだ。比較的温暖な気候も相まって良い幕開けである。
 それなのに気分が晴れないのは、つれそう二人のせいに違いない。
「ねえ。どこに向かうの?」
「とりあえず駅だ」
 そう言った後、おかしい事に気がつく。
「待て。女子高生はともかく、なぜお前までついてくるんだ?」
「朝から女子高生連れて職質でもされたらどうするつもりなのよ。その娘が上手く釈明してくれると思う?」
「それは」
 その通りかもしれない。
「それにケンイチ達を追い払って、私にあいつ等と関わるなとか言っといて、突っぱねるのは違うんじゃない?」
「…分かったよ」
 とはいえ山ガールの言葉を真摯に受け止めることは出来ず、少しずつ膨らむ不満を引き摺って駅のホームへ着いた。 
「ねえ電車きたよ。乗らないの?」
「降りる駅に急行は停まらないんだよ」
「そう、なんだ」
「馬鹿にしただろ」
「してない。ほら、すぐ次くるよ」
 山ガールに言われ案内を見る。
「準急も停まらない」
「…マジで?」
「…」
 新年早々、妙な悔しさを味わう羽目になるとは。
 山ガールも気を遣っているのか各駅停車が到着するまで沈黙が続いた。その気遣いが逆に腹立たしいのだが。
「そういえばさ。名前聞いてなかったよね」
「俺か、俺は竹ノ内だ。竹ノ内豊」
「なんだか聞き覚えのある名前だね。ユタカって呼んでいい?
「ああ」
「じゃあ、豊の出身は?」
「なんでそこまで教えなきゃいけないんだ」
「別にいいじゃないそれぐらい。神秘性でも持たせたいの?」
 全く、とんだ面倒に出会ってしまったものだ。一体いつまで不運が続いてしまうのか。
 渦中の女子高生は呑気にうたた寝し、車体の振動に合わせて首を揺らしていた。