「お兄ちゃん、露天風呂っていいね。金星がいつもより綺麗に見える」
「本当だな。発明した人は偉大だ」
「大きくなったらお家に露天風呂作ってよ。それで毎日、星をみようよ」
「毎日は飽きるかもなあ」
 湯船に漬かり思考がぼやけて、つい昔の出来事に浸ってしまった。
 ああ。銭湯も良いな。
 銭湯と温泉の違いは何だったか。一度グーグルで検索した気がするけど、忘れてしまった。
 何気なく傍に座る女子高生をみると、なにやら手首の辺りをいじっていた。
「何やってんの?」
「取れない」
「見せて」そう言って、女子高生の左手を取る。
 彼女の言う通り、手関節より少し前腕よりの所に金の輪がピッタリと巻かれている。ネックレス等の様な繋ぎの部分はない。
「これに関して、なにか覚えてないの?」
「うん」
 太ったせいで結婚指輪が抜けなくなる、みたいな事だろうか?これの場合は骨の出っ張りに引っかかっている様にも感じるが。
「取れそうにないね」
「ありがとう」