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ミシュガルド合同調査報告所3
奴隷達の神【ソッカレシ・ナッヌガシ教】

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【ソッカレシ・ナッヌガシ教】

 主に奴隷達が信仰している民間宗教
 象徴は「鳥の脚に翼の生えた黄金の足枷」
 主な神は「バーイバーイ」という光輪を頂く大翼の死神
 四季の儀式には「既に花弁を散らしたその季節の花の茎」を用いる

 『自分達(奴隷)は魂が下等だから、人に尽くし、仕えることで現世を学び、十分に感謝を積んだ魂は、死後、より高貴な存在に生まれ変われる』という教義の下、信者は自身の仕える主人に盲目的に奉仕し、命令には死をも厭わず尽くし抜く。
 ソッカレシ・ナッヌガシ教徒にとって主人は自分に現世の勉強を積ませてくれる最良の教師であり、強制されなければ「先生」と呼ぶ。
 また、神の化身であるとも解釈される為、別々の主人に仕える二人の教徒に殺し合うよう命じると、寧ろ「神に選ばれた勇者同士の戦い」として、最大の名誉とされる。
 彼らが頻繁に東方風のお辞儀に似た仕草で頭を下げるのは、下等な自分を生かしてくれる世の人々への感謝を表明しているからである。

 主人に逆らうこと以外の教義に重大なタブーは無いが、余計な詮索や勘繰りをすることは奉仕の質を下げるとされ、個人差はあれど悩むことを避ける傾向が多い。
 口煩くお節介で、余計なことばかり悩み過ぎて荷を落としたことに気づかず、主人に捨てられてしまった「がみがみロバとりこうなブタ」という寓話が存在している。

 何代も続くソッカレシ・ナッヌガシ教徒は初代教祖の代から受け継ぐ香草や薬湯、香、染料等の技術を身につけている場合があり、首尾よく彼らを奴隷にしたのなら、快く奉仕の一環としてその技術を差し出すだろう。

 成立の背景は拉致等により国外に売却され、帰還も叶わぬまま現地に骨を埋めることになった労働奴隷や、親子共々奴隷生活を強いられる性奴隷等の苛酷な暮らしがあり、「どうせ帰ることができないのなら、諦めてせめてラクに生きるために、考えるのをやめよう」という、後ろ向きな活力が架空の神を生み出したとの説が有力。
 初代教祖もまた誰もが眉を潜める賎業につく奴隷の子だったとされている。

 ミシュガルド開拓時代では、大量の奴隷もまた輸入されると同時に布教が徐々に広まり始め、干乾びた鳥の脚を紐で括った簡素な首飾りや腕輪、足輪をつけた奴隷を見かけるようになったという。

       

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