Neetel Inside 文芸新都
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誰がにんにんを殺したか
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にんにんが殺されたのは昨日の朝9時から11時前後であるとされる。第一発見者がハムなのである。にんにんの死体は普通ではなかった。ハムですら目を覆いたいほど、惨たらしくナイフのようなもので滅多刺しにされていたのだった。ハムがにんにんと約束したのは10時半、その少し前に着いて死体を見つけたので実際の死亡時刻はそれ以前のことである。ハムはそれを警察には言わなかった。それどころかにんにんの頭に巻かれたスマホから自分あてのメールや連絡先を消去したのである。ハムは考えた。(ハムちゃんは馬鹿だからきっと通報したら犯人にされてしまう・・・ハムちゃんは馬鹿だから、きっと警察に自白にされてしまう・・・僕はどうすればいいのだ。)ハムは泣き出した。
 午後からは雷雨だった。ガタガタピッシャンガタピッシャン。ハムは部屋に閉じこもっていたが、なんとなく警察が秘密を嗅ぎつけやってくることを恐れていた。雷が近くに落ちると、ピャウッと小さく鳴くのであったがやがて夜も更けると次第に止み、雲もなく月が見えるくらいであった。ハムは深く溜息をつくと、やがて不安を抱えたまま眠りについた。そして今朝、冷静さを取り戻したハムはあるところに電話をかけ始めた。果たして誰に助けを求めたのだろうか。

     

「ハムベ君、一体誰からの電話だろうか。」
らん豚が座っているのは、つい先日懇意にしている家具屋から運んできた革張りのソファーである。そこにらん豚の汚らしい皮脂がつくと思うと内心ハムベはイライラしていた。こいつは何故一年中半袖半ズボンで過ごしているのだろうか。ハムベはらん豚を用事ができたのですまないが・・・と追い出すと、玄関で憂鬱そうに溜息をついた。ハムを助けなければ・・・。古箪笥のなかから一着のコートを取り出したのだが、これはイタリアで仕事があった際に購入した物で裏地の綺麗な鳩羽色に惹かれたのであった。洗面所で鏡を見る。髭が多少出てきているかもしれな稲、まあいいや。ハムベは家を出た。秋晴れではあるが、風がまた強くなっていた。もう少しすれば雪も降るだろう。さてこのときから実はある人物につけられていたのである。

     

「やあ。ハムベじゃないか。困るね、また現場を荒らすつもりだろうね。」
 「いや人間君すまん。実は昨晩ニュースで近くで事件があったと知ってね。是非この事件を探偵させてくれ。」
 警部である人間はハムベを一瞥すると、探偵業とは儲かるのだろう、いやに良いコートを着ていやがると思った。にんにんが殺されていたのは1階の15畳程の広いリビングである。足先には立派な暖炉があった。ハムベは暖炉に顔を入れてみた。そして死体があった周辺(既ににんにんは検死にまわされている)を床に顔をつけるように観察した。分厚いカーペットはややボサボサして臭かった。それからいくつもの部屋を見た後、2階のゲストルームへ入っていった。ホテルのようにそれぞれにシャワートイレがついているのだった。
 「なるほどにぃ。」
 ハムベは窓を開けて白樺の葉が風に蹴とばされていくのを眺めていた。

     

ワニガメが捕まったのはそれから間もなくのことである。ワニガメは以前よりにんにんと共通の目的があり、交流を深めていた。それはにんにんのスマホに記録されている通りである。にんにんはハムが痛めつけられるのを見て興奮を覚える変態であり、ワニガメはただハムが食べられればそれでいいのであった。しかし昨日、ワニガメはついににんにんにも手を出したのだ。だがにんにんは頭にスマートフォンを自作のベルトで巻き付けてあったのでその場は一命をとりとめた。にんにんが安堵したのもつかの間、新たな使者がやってきたのであった。
 「(*^-^*)みほだょぉ☆彡」
 みほは血の匂いを嗅ぎつけやってきた。そして頭からワニガメに噛みつかれにんにんを見ると気狂いになって笑いながらとどめを刺した。警察に報せたのもみほであったがみほはまたどこか血の匂いのする方に消えたのであろう、もうそこには惨たらしい姿で横たわるにんにんしか残っていなかったのだから。
 さて、ハムはどうしたのだろう。実はハムは逮捕され警察署にいた。ハムはハムベに助けを求めた後、A駅付近のネットカフェで事件についてビクビクしながら続報を待っていた。そしてハムベがスマホのガラス片や、各種記録から事件を解決させるとレジに向かったハムは自分が財布を持たずに歩いてきたことに絶望した。そして店員に警察に通報され、無銭飲食で捕まったのである。そのことを知ったハムベはこう言った。
 「なんだこの宇野―リー並にご都合展開、はまじぱちょんこどぶげ。」
それでも筆者はこれからも宇野―リーをやるつもりはないのである。

     

 ちなみにハムベをつけていたのは菅沼であった。菅沼はにんにんの家から出ていくハムベとみほをたまたま見ていたのでこれはハムベに報せなくてはと思ったのだった。ハムベと菅沼はこの後二人仲良くアムチを回したのだった。



おわり

       

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