Neetel Inside 文芸新都
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No4「四大星人の企み」

闇夜の晩、その会合は静かに始まった。
欧州の森の中に建てられた小さな小屋の中で、ランプの灯りに照らされて座る人影が五つ。
おおよそ現代の文明圏に似つかわしくない、ファンタジーの世界から抜けだしてきたような姿をしたその集団は、魔王退治に赴く勇者一向でも、財宝を目指す冒険者の一団でも無い。
地球侵略を企む、残虐非道な侵略星人達だ。

「時間だ、会談を始めてよろしいだろうか?」

集まった一同を見渡して、頭に角を生やしたトカゲを人型にして鎧を着せたような外見の星人が話を切りだした。
グライカロッド星人、口から濃縮された数万度の炎を吐く別名宇宙炎龍人と呼ばれる星人だ。

「構わない」

二人いる右目を黒髪で隠した青年の、グライカロッド星人の向かい座っている方がそれに応じる。
巨大な高層ビルも念動力で軽々持ち上げるババム星人だ。

「いいよ」

ババム星人の隣に座る、肩当をつけた金髪の少女は軽い調子で返答する。
華奢な背格好をしているが、彼女、ビーヘイト星人が傍らに置いた剣に斬れない物質は子の地球には存在しない。

「…」

最後に立派な口ひげを生やしたスキンヘッドの男が無言で頷いた。
エゼロ星人、強力な宇宙ロボットを作りだす種族である。

周囲の了承を得たのを確認すると、早速グライカロッド星人は話し始めた。

「調査の結果、地球人類の軍事力は我々の侵略計画に対し何ら問題ない事がわかった。やはり我々の地球侵略の障害は、カラテレンビクトリーだけだ」

カラテレンビクトリーとは、宇宙の道徳に従って地球と人類文明を守る、宇宙の空手家である。
その戦闘能力はとても高く、これまでに地球を狙った侵略星人達はカラテレンビクトリー一人のために全て敗れ去っていた。
そこで、侵略星人達はまず邪魔なビクトリーを倒すため、こうして一同に集結したのである。

「じゃあもう心配ないね、皆でカラテレンビクトリーをいたぶり殺せばいいだけじゃないか」

ビーヘイト星人がころころと笑いながら発言した。
その横では、ババム星人が軽く頷いている。

「まあ所詮奴は一人だ、しかし、そうすれば奴も死に物狂いで反撃しこちらにも多少は被害が出るだろう。そこで提案がある」

そう言って、ババム星人の方をみるグライカロッド星人。

「ババム星人の念力で、地球人共を戦闘空間に大量に浮かせるのだ。
奴の攻撃は強力で、脆弱な地球人類は掠っただけで死亡する、宇宙道徳を重んじる奴が身動きが取れなくなったところを、我々が攻撃すればいい」
「いいね」
「構わない」

ビーヘイト星人とババム星人は、グライカロッド星人の案にすぐに賛成した。
ただ一人、エゼロ星人だけは黙って話を聞いている。

「お前はどう思う?」

そんなエゼロ星人に、改めて尋ねるグライカロッド星人。
しかし、エゼロ星人は応えない。

「おい」

少し苛立たし気に、グライカロッド星人がエゼロ星人の肩を叩いた。

「ごぶっ!!」

突如、エゼロ星人は黒い血を吐き、その場に崩れ落ちる。
その腹を貫通し、後ろの壁から貫手が伸びていた。

「貴様等の企みは全て聞かせてもらった」
「カ…カラテレンビクトリー」

壁を粉砕し、白い胴着を着た星人、カラテレンビクトリーが小屋の中に乱入する。
カラテレンビクトリーは素早く拳を振るい、驚くババム星人の頭を粉砕した。

「貴様」

仲間を殺されたもう一人のババム星人が振り返るが、ビクトリーは星人が念動力をつかうよりも早く空手チョップでその上体を真っ二つに叩き切る。

「せっ!」

混乱から立ち直り、剣をとったビーヘイト星人がカラテレンビクトリーに斬りかかってきた。
ビクトリーはそれを素早くかわし、再度放たれた斬撃を両手で白羽取りにして脚で剣を叩き折る。

「ああ!?」

狼狽えるビーヘイト星人。

「喰らえ!」

そこに、背後からグライカロッド星人が火球を放ってきた。
しかしビクトリーは素早く飛びあがってそれをかわす。
火球はビクトリーの前にいたビーヘイト星人に命中した。

「ギャアアアアア」

炎に巻かれ、断末魔をあげて崩れ落ちるビーヘイト星人。

「おのれ」

再度ビクトリーを狙って火球を放つグライカロッド星人。
ビクトリーはそれもかわすと、手にしていたビーヘイト星人の剣の刃をグライカロッド星人めがけて投げつけた。

「ぐええっ」

頭に刃が突き刺さり、悶絶して倒れ爆発する星人。
その炎が周囲を包みこみ、あっという間に小屋を倒壊させ、炎が消える頃には全てが炭となり、後には何も残ら無かった。
カラテレンビクトリーはそれを確認すると、空の彼方へと飛び去っていく。
後には静けさを取り戻した欧州の森だけが残っていた。

       

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