Neetel Inside 文芸新都
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No6「七色の侵略者」

ある日突然、極彩色の光を放ちながら動物を襲う七色のカビが世界各地に出現した。
太陽の照らす昼は動かないものの、夜になると高速で動いて人間や動物を捕食していくそれは、脅威的な速度で繁殖し、次々と犠牲者を増やしていく。
火炎放射や毒劇物等、人類の抵抗を物ともしない七色のカビ。
その正体は、地球侵略に来た侵略星人、メルビ星人だ。
知的生命体であるメルビ星人は、太陽光という弱点があるもののそれを策略で補って、効率的に人類の主要な都市や重要な施設を破壊していく。

そんなメルビ星人から人類を救うため、天空の彼方から白い胴着姿の宇宙人が現れた。
宇宙道徳に従って戦う巨大な宇宙の空手家、カラテレンビクトリーである。
カラテレンビクトリーは月夜の晩、蠢く無数のメルビ星人の前に立ちふさがり、その体に人類の如何なる破壊兵器よりも強力な必殺の技を叩きこんでいった。
しかし、メルビ星人はビクトリーの猛攻に平然と耐え、体内で生成した強力な殺人光線を放ってカラテレンビクトリーを昏倒させ、包み込んで溶かそうとし始める。
あわやビクトリーが倒されてしまうというところで太陽が昇り、メルビ星人は活動を休止した。
休眠しているメルビ星人はあらゆる攻撃を受け付けない絶対防御力を持つため、やむおえずその場から飛び去るカラテレンビクトリー。

各国はビクトリーが敗れたため、メルビ星人に対して核兵器の使用を決定する。
昼は防御力が高まっているため、夜間の活動している星人めがけ、数発の核弾頭が放れた。
だが高度な科学力を持つメルビ星人は核兵器の制御を奪い、その照準を人類の主要な都市へと変更してしまう。
主要な都市に迫る核弾頭に、なすすべがない人類。
それを救ったのは、再び現れたカラテレンビクトリーだった。

宇宙空間で核弾頭を無力化させたカラテレンビクトリーは、しかし地球に背を向けてどこかへと飛び去ってしまう。
世界の人々はそれを見てビクトリーが逃げた、と落胆し、最早なすすべがない事に絶望する。
勝利を確信したメルビ星人の行動は大胆になり、曇りなどで太陽光が弱ければ、昼でも活動する様になりだした。

星人は更に効率よく人類を滅ぼすために核弾頭の強奪をもくろみ、核兵器を保有する亡国の基地を攻撃し始める。
核ミサイルが星人の手に落ちかけたその時、三度、カラテレンビクトリーが駆けつけてきた。
ビクトリーは星人の殺人光線を防御すると、今度こそ自分を飲み込もうと接近してくるメルビ星人めがけ、体から強い光を放射する。
光を浴びた星人は苦しみ、断末魔の様な怪音をあげて消滅した。
ビクトリーは太陽へ赴き、そのエネルギーを全身に蓄積し、それを放出したのである。
更にビクトリーは星人間の情報拡散能力を乗っ取って使い、撃破した星人群になりすまして誤情報をばら撒いて星人群を一か所にまとめると、強烈な太陽光を浴びせて一気にこれを殲滅した。
恐ろしい七色の侵略者は、カビから知的に進化しすぎたために、油断して足元をすくわれたのである。

       

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