Neetel Inside ニートノベル
表紙

おんりーわんわんず
独り言

見開き   最大化      

家に犬がきた。チワワ、マルチーズ、トイプードル、ヨークシャテリアのミックス犬らしい。もはや雑種ではないかとおもったが、今のご機嫌な母には何も言わない。言えない。ここはくどいほどの甲高い声を上げ、年相応にはしゃぎまわるのが正解。いつもなら。急に口角が下がる母。地雷を踏んだらしい。
怖がるでしょ。静かにして。
そうだった、そうだね。
血液が冷たく感じた。頭のなかは、やってしまった。いい加減学習しろ。などと、「私」が騒いでる。右手の親指を人差し指に強く食い込ませながら、目の前に置かれたダンボール箱から犬が出されるのを、いつもより意識的に開かせた目で見ていた。


かわいい

自然と頬がゆるくなった。なんだ、私もかわいいなんて本気で思えるところあったんだ。とか、驚きながらも、手は勝手にその子を撫でていた。
白くてふわふわした毛並み、手のひらよりわずかに大きいくらいで、ほのかにミルクの匂いがする。

一瞬、



簡単に潰せてしまう。
そんなシーンが頭に流れ込んできた。例えば包丁を持っているとき、居間にいる弟を刺し殺したらお母さんは私を迷い無く殺すだろうとか、そんな とある選択肢 を考える癖がある。
実際にやることは少ないがあるにはある。私は、自分はいつか人を殺せる。そうおもいしらされた。


家に犬がいる。今は私の膝の上で寝息をたてている。家に犬がいる。この違和感はずっと頭にはりついてはなれなくなる。

       

表紙
Tweet

Neetsha