Neetel Inside ニートノベル
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高校受験の勉強なんて、真面目にやった記憶なんてない。とくに塾も何もやっていなかった。

秋の涼しさが、夏の暑さを忘れさせた頃、私は弟へのコンプレックスを拗らせていた。
バスケでは将来のキャプテン候補と言われるくらい才能があり、自分の意思をもっていてそれをはっきり発言できる、友達も多い。これだけでも私と圧倒的な差がわかる。人として差が。母の期待は弟へ向かうのは当然で、だからと言って、私は母にみてほしいとかそういう感情はなく、むしろ弟と比較されることが何より恥ずかしかった。

これらのことが勉強に集中できなかった原因のひとつだった。が、大きな理由は家事の手伝いをしていたからだろう。風呂掃除、洗濯、食器洗い、そして、犬の散歩。
始めこそ弟は張り切って散歩に行ってたが、今は可愛がるだけ。世話をしなくなった。


今日も、さんぽだよ、と呼び掛けると尻尾を振って玄関へ駆けていく。雨は好きな言葉はよくおぼえた。
さんぽ、おやつ、ごはん。これらの単語が聞こえると大きな耳がピンとたつ。かわいい。
ただ、雨はあまりしつけがされておらず、人を見つけたらとにかく威嚇をする。が、寄ってくる人には弱くすぐ私に助けを求める。この町は田舎のため、爺婆が多く、やたら構ってくる。雨には迷惑かもしれないが、自分の犬がかわいいと言われるのは嬉しい。

まだまだのろけ話はある。
雨は外でようをたさない。なぜかは分からないが、人がみてる前ではしない。ただ1回だけ、我慢できなかったのか、散歩から帰って来たら庭で足も上げずに漏らしてしまったことがある。暫く動かず、恥ずかしそうにこちらをチラチラ見てきた。かわいい。




とてもかわいい。

       

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