Neetel Inside ニートノベル
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私の世界は灰色だった。
白黒はっきりしてなくて、いつも自分を第三者の視点でみてた。自分も他人もどうでもよかった。
どうでもよかった。
でも、雨は違った。
私の所有物。私が主。


「また1位!?すごいじゃない」
母がやけに上機嫌だ。
「別に、今回も簡単だっただけ」
少し前なら母に合わせて作り笑いでもしてたんだろう。
そう考えると、前の私と今の私は同じモノでは無い気がしてきた。
目の前のこいつも、本当に私の母親なのか。
こいつ、こんなかおしてたっけ。
こんなこえだっけ。
あれ?
アレ?
アレ???????????


「……だし、て、あんた大丈夫?顔色悪いよ」
「ごめん。もう寝る。」
もう言葉も理解できなかった。
自分が霧散してしまうような感覚になった。

布団にはいっても息が荒くなるばかりだった。
呼吸って、いつもどうやってたっけ。
苦しい、苦しい、苦しい苦しいくるしいくるしいくるしいくるしいクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイ






いきなり、鼻の感覚がはっきりした。
雨だ。雨が、私の鼻をなめたんだ。
少し汚れてきたそのからだを撫でる。
するとすこしずつ、だけどはっきりと、私の手の輪郭が感じられた。
ああ、私はまだ私だ。
糸が切れるように眠りについた。
その日は嫌な夢は見なかった。


       

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