Neetel Inside ベータマガジン
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「かわりもの」
若樹ひろし
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=19781

寂しい人と変わり者

 大晦日に当直勤務で警備をしている語り手が出会ったのは自らの分身、かと思いきや女子高生に変身した、といった少し異色なボーイミーツガール形式で始まる本作。記憶喪失の女子高生は誰かが想いを持って着た服ならば、その人に変身できるという異能を持っています。記憶喪失の女子高生は変わり者、そして変身できるということで変わり者。ダブルミーニングが鮮やかになされています。
 初回のお話である今回は強盗が現れて、それを女子高生の能力と語り手の機転で見事に退治する勧善懲悪タイプ。実際どのような退治がなされるのかは読んでみてください。ニノベらしい雰囲気が醸し出されています。お話の終わり方として、それにしてもこの女子高生は何者なんだ、と再度謎を確認しておけばよくある連載物のようになるかと思いました。実際の終わり方は、強盗の一味、山ガールについてのエピソードが挟まれます。その分、お話が長くなるので、長い文章が苦手な人には少し敬遠されるかなあといった印象を受けました。この後、山ガールが物語に絡んでくるのであれば、主要人物三人の紹介として、入れざるを得なかったのかなあとも作者側の気持ちとしては思いますが、主軸は「かわりもの」だと思うので、山ガールのエピソードを勧善懲悪の最中に組み込めれば尚良しと評論家気取りで記しておきます。

寂しい人達とナンパ男達

 そう言えば、一話目の寂しい人は誰だったんでしょう。大晦日に当直をしていた語り手ですかね。強盗が来たというのに通報もせずに語り手は女子高生と山ガールをつれて自宅へ向かいます。現代とは世界観が違うのでしょうか。
 語り手は山ガールへ移り、銭湯へ。サービスシーンでしょうか。途中、源美咲という華族の存在が提示されます。名前を覚えておくといいことがありそうです。あと、女子高生の取れない腕輪もキーアイテムなのでしょう。
 後半で、金髪と茶髪のナンパ男達に絡まれます。主要人物の髪の色を意識していなかったこともあったのですが、誰が話しているのかの把握に戸惑いました。今回も上手に女子高生の能力を使ってピンチを脱出します。一話に比べて危機が急に小さくなった気がします。第二話はあまり緊迫感がなく、このまま日常ものへと入っていくのでしょうか。

寂しい人と無冠の帝王

 前話を振り返ると、やっぱり誰が寂しい人なのかが難しいです。読解力不足なのでしょうか。第三話は山ガールの実家にいる場面から、その謎解きとしての回想へ向かいます。やはりこのまま日常ものなのですかね。山ガール宅へ向かった理由は意外と呆気無く謎解きされ、理由も呆気無かったです。本話の主軸の謎ではなかったようです。語り手宅へ向かった際もアキコ宅へ向かった際も違和感なく向かい過ぎな気がします。私が作者目線で見てしまい気にしすぎなのかもしれませんが。
 本作で諸星、宮田茜という二人の登場人物が出てきます。前者がタイトルの無冠の帝王なのですが、理由はご一読を。山ガール宅へ向かった理由は呆気ないかと思ったのですが、綺麗に回収されそうです。日常ものかと思いきや、徐々に不穏な空気が流れ始めます。盛り上がりそうな雰囲気が出てきましたので、続きを読むのは今後の楽しみとして感想はここまでにします。

       

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