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非正規英雄(アルバイトヒーロー)
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http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=19736

 本作品は複数の作者が代わる代わる執筆をするリレー小説だそうです。作者陣は、鹽竈、どんべえは関西派、後藤健二、混じるバジル、宮城毒素(敬称略)となっていますが、概要諸々によりますと参加、お待ちしていますとのこと。作者の方々が鹽竈先生の呼びかけに応じて始まった企画のようです。とりあえず五人も先生がいらっしゃるので、感想を望んでいない先生もいるのかもしれませんが、今回は勝手に感想を書かせていただきます。何か不都合等ございましたらツイッターにご一報いただければ、削除なり対応させていただきます。

第一話 手取り月収14万の俺が何の因果か英雄と呼ばれるようになった結果   (鹽竈)

 フリーターである二十歳の語り手。少子高齢化、不景気、自殺者の増加。世は終末。これからの我が国の最悪のシナリオを感じさせる設定の中、突然ボロアパートへの訪問者。バリバリのキャリアウーマン然とした女性が語り手に告げた言葉は。といったような導入で始まる本話。英雄になれと突然言われたらどんな気持ちになるのでしょうか。無理だ、と私ならなってしまいそうなところ語り手である石動堅悟はすんなり受け入れます。神に選ばれた、悪魔を滅す、英雄。男の子はこういうワードに弱いようです。世界観が提示されるも自由度は全く減らず。ワクワク感を膨らまし、次話へ進みます。

第二話 デビュー戦 (どんべえは関西派)

 臨時雇いの英雄すなわち非正規英雄(アルバイトヒーロー)となった石動堅悟。彼と天使とのやり取りの中で少しずつ設定が詳らかになっていきます。交通費など諸経費の話はありますが、基本的にお給金は悪魔を一体倒すごとの成果主義のようです。そしてタイトルの通りデビュー戦を迎えるのですが、相手は悪魔。フリーターがどう戦うのか読み進めていくと、アーティファクト、神聖武具といった存在が提示されます。語り手に与えられたのは中世のロングソードのような形状をしていて、力が満ち溢れてくるものだそうです。力だけでなくやる気にも満ち溢れるそうで、これを配れば不景気は終わるのではないかといらぬ妄想をしてしまいました。いらぬ妄想続きですが、生まれて間もない悪魔を殺すのを見ると、某お笑い芸人がモンスターをハンティングするゲームを見て、なんで恐竜らしきものを叩くんだ、と言ったのを思い出してしまいます。悪魔は生かしておくと必ず悪いことをするんだと言い聞かせて読み進めていきます。その剣の形状はスクラマサックスではありませんよ、というツッコミにより、エクスカリバーの形状の名前を初めて知りました。デビュー戦を終えた石動が余韻に浸りながら夜道を歩いて行くところで本話は終わります。第二話後半の挿絵がその後に挟まれていて、石動堅悟の見た目を知ります。かっこいい絵です。

第三話 その代償は (後藤健二)

 アルバイトヒーローのお給金の高さに驚きます。生まれて間もない悪魔だけ殺して生きていきたいです。彼らが善の心を仮に持っていたとしても殺せます。・・・はっ。少し悪魔に心を乗っ取られていました。本心ではないのでお忘れください。どうやらアーティファクトの使用には代償があるようです。
 私は確か、英雄ものを読んでいたはずです。気がつけば風俗ものに変わっているのです。三話目にしてまさかの方向転換です。風俗嬢の描写に異常にリアリティがあります。ピンクチラシって実は違法らしいとかいう多分本話を読んでいなかったら知ることのないであろう情報まで入ってきます。その後、見事な最方向転換をかまして、物語は悪魔と対峙する本筋に入るのですが、アーティファクトの使用の代償なのかピンチが訪れます。代償が明らかにされるか、と思ったところで第三話は終了です。

第四話 代償を背負った彼の場合は (混じるバジル)

 混じるバジル先生による鹽竈先生作品パロディタイトルの本話。代償とは。謎が解明されないまま、緊迫感の張り詰めたピンチシーンが続きます。もうダメだ、緊迫感がピークに。盛り上げ方が綺麗です。緊迫感あふれるシーンの中、「隣の部屋に住むニートからの無言の壁ドンが響いている(どうやって生計を立てているかは不明)」といった記述があるのはニノベならではですね。どうやら語り手が動けないのは魔力の使い過ぎらしく、代償はまだ別にあるご様子。敵は、三週間後にサイタマグレートアリーナに来いと言う。来なければ、そこにいる六万人を殺すと。さて、この後語り手は中国に修行に行って、とある結末を迎えるのですが、それについては本文にてご確認を。

第五話 彼の内宇宙に生じた棘皮 (宮城毒素)

 本話は天使視点となります。前話の無茶ブリによりこうしなければならなかったのかもしれません。リレー小説ならではの面白さですね。そしてそれが故に非常に感想が書きにくいです。ここに書いてしまうとすべてが明らかになってしまうので。私から言えることは、語り手は、サイタマグレートアリーナに向かえます。向かいます。とにかくそれだけです。
 今回はここまでにします。

       

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