Neetel Inside ベータマガジン
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「世界銃」
のば
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=20022&story=1

拳銃は最初の武器

 シンデレラ・リボルバーver.1.02の取扱説明書が導入となっています。新都社小説は誰でも書けるがゆえに、無条件での読者の期待値が著しく低いです。知っている作者の作品なら読んでみようとなるかもしれませんが、知らない作者の作品は導入ですべてを判断されることがままあるでしょう。そういう意味では、この導入で読むのをやめられてしまう可能性が高いのではと思います。読者が読みたいのは物語の舞台についてではなく、物語なのですから。本感想の読者の皆様に注意していただきたいのは、導入の一側面に対して批判したにすぎないという点です。むしろ、作品としてはこの導入によって面白くなる、あるいはこの導入でなければならないかもしれないわけです。そして、導入で切り捨てられてしまった実は面白い小説はこの世に沢山あると思います。そのような小説を拾い上げていくことも本企画の一側面たるべきでしょう。そして、実は多読する感想企画担当者の身としては、最初に設定が記述されているほうが読むのが楽だったりもします。

1.光る幼馴染

 物語は語り手とその友人の日常の一幕から始まっていきます。高校生。いわゆるマドンナを「主人公」とあだ名される豊田くんにかっさらわれ、彼らは自らが「主人公」ではないという思いに駆られます。導入の言葉を借りるならば彼らは「その他大勢」なのでしょう。当たり前のことですが、本小説における主人公は語り手であり、豊田くんはその他大勢なわけです。要は視点の問題なわけですが、客観的に物ごとを見る能力だけでなく、彼らのように主観的に物ごとを見ることも必要なのかなと思うようになってきてはいます。個人的な話でした。話を物語に戻しますと、「その他大勢」な語り手にも自慢できるような幼馴染との思い出があります。そして話は進み、久々に再会した幼なじみは死にかけていて語り手は銃を受け取ります。そして、その銃で救急箱を打つと、と物語が進んでいきます。想像で語りますが、作者は救急箱の変化に対して、何故ではなく、どの物語なんだろうという妄想を楽しんでほしくて導入を入れたのでしょうか。語り手が唯一普通でないと自覚する点から物語が膨らんでいきます。みずからを「その他大勢」と思っているような人でも普通じゃない点はあると思います。どんな人からでも物語は始まるんだという作者からのメッセージなのでしょうか。
 今回はここまでにします。

       

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