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★文芸・ニノベ作品感想5★
6月3日ニノベ感想

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★6月3日更新ニノベ作品感想

第二回の更新作品数は6でした。
6月6日を目標に感想を書きます。
よろしくお願いいたします。

以下の作品感想を書きます。

「かわりもの」
「後輩がドのつく変態でした」
「インドマン」
「ソーット ア〜ント オンナin」
「エクストラ」
「退魔を担う彼の場合は」

     

「かわりもの」
若樹ひろし
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=19781

寂しい人と変わり者

 大晦日に当直勤務で警備をしている語り手が出会ったのは自らの分身、かと思いきや女子高生に変身した、といった少し異色なボーイミーツガール形式で始まる本作。記憶喪失の女子高生は誰かが想いを持って着た服ならば、その人に変身できるという異能を持っています。記憶喪失の女子高生は変わり者、そして変身できるということで変わり者。ダブルミーニングが鮮やかになされています。
 初回のお話である今回は強盗が現れて、それを女子高生の能力と語り手の機転で見事に退治する勧善懲悪タイプ。実際どのような退治がなされるのかは読んでみてください。ニノベらしい雰囲気が醸し出されています。お話の終わり方として、それにしてもこの女子高生は何者なんだ、と再度謎を確認しておけばよくある連載物のようになるかと思いました。実際の終わり方は、強盗の一味、山ガールについてのエピソードが挟まれます。その分、お話が長くなるので、長い文章が苦手な人には少し敬遠されるかなあといった印象を受けました。この後、山ガールが物語に絡んでくるのであれば、主要人物三人の紹介として、入れざるを得なかったのかなあとも作者側の気持ちとしては思いますが、主軸は「かわりもの」だと思うので、山ガールのエピソードを勧善懲悪の最中に組み込めれば尚良しと評論家気取りで記しておきます。

寂しい人達とナンパ男達

 そう言えば、一話目の寂しい人は誰だったんでしょう。大晦日に当直をしていた語り手ですかね。強盗が来たというのに通報もせずに語り手は女子高生と山ガールをつれて自宅へ向かいます。現代とは世界観が違うのでしょうか。
 語り手は山ガールへ移り、銭湯へ。サービスシーンでしょうか。途中、源美咲という華族の存在が提示されます。名前を覚えておくといいことがありそうです。あと、女子高生の取れない腕輪もキーアイテムなのでしょう。
 後半で、金髪と茶髪のナンパ男達に絡まれます。主要人物の髪の色を意識していなかったこともあったのですが、誰が話しているのかの把握に戸惑いました。今回も上手に女子高生の能力を使ってピンチを脱出します。一話に比べて危機が急に小さくなった気がします。第二話はあまり緊迫感がなく、このまま日常ものへと入っていくのでしょうか。

寂しい人と無冠の帝王

 前話を振り返ると、やっぱり誰が寂しい人なのかが難しいです。読解力不足なのでしょうか。第三話は山ガールの実家にいる場面から、その謎解きとしての回想へ向かいます。やはりこのまま日常ものなのですかね。山ガール宅へ向かった理由は意外と呆気無く謎解きされ、理由も呆気無かったです。本話の主軸の謎ではなかったようです。語り手宅へ向かった際もアキコ宅へ向かった際も違和感なく向かい過ぎな気がします。私が作者目線で見てしまい気にしすぎなのかもしれませんが。
 本作で諸星、宮田茜という二人の登場人物が出てきます。前者がタイトルの無冠の帝王なのですが、理由はご一読を。山ガール宅へ向かった理由は呆気ないかと思ったのですが、綺麗に回収されそうです。日常ものかと思いきや、徐々に不穏な空気が流れ始めます。盛り上がりそうな雰囲気が出てきましたので、続きを読むのは今後の楽しみとして感想はここまでにします。

     

「後輩がドのつく変態でした」
どっちからから読んでも今井マイ
http://www.geocities.jp/blissful_uribou/00.top_tool/01kouhaihentai.top.html

 BL作品ということで第零話で注意書きがなされます。いわゆるpixiv晒しあげ事件でも思ったのですが、BL界隈の人は過去のせいか過剰に後ろめたさを感じているように見えます。とやかく言われるのが面倒だからとりあえずお断りしているんだ、くらいな感覚で注意事項を書かれているのだと良いのですが、そうでなければ気にしすぎな気もします。隠れてやっている方が楽しいのでしたら要らぬお節介でした。
 第一話と第二話は漫画なので感想は省略します。後輩鈴木攻めの先輩加納受けです。タイトル的にド変態は鈴木ですが、加納先輩も十分変態に見えます。
 第三話に入ると、まさかの長編小説でした。第三話は全三十二ページなのでしょうか。番号が振ってあって、二十七ページまでが更新されています。

 プロローグ

 第二話の続きとして始まるプロローグです。読みやすい文体でさらさらと流れていきます。短い会話の中に天の声としての地の文が入って、種々の情報が埋め込まれていきます。そして、鈴木くんが回想に入るのと同時にプロローグは終わります。第三話表紙ページで分かるように、過去編に入るようです。また、BLの要素がないとのことで、第二話までとは対象とする読者層がすこし違うのでしょうか。

 きっかけ

 高校の入学直後。鈴木くんは誰かに会うのを楽しみにしているようです。ここまで読んでいると、漫画の鈴木くんとは年齢が違うからかあまり同じ人に思えません。プロローグでも少し思ったのですが、改行が独特です。会話文前後は二段改行。たまに一段改行で、段落の字下げはなし。よくブログなどで見る形式です。こだわりがあるんですかね。ブログ世代に読みやすい形式なのでしょうか。気になります。ちなみに、ブログ世代だなんて世代があるのかどうかは知りません。

 ぼくらが中学だったころ

 加納と鈴木の出会いが描かれるのでしょうか。読み始めてすぐ目に付くのは駅伝のアナウンス。なにか思い入れがあるのでしょうか。執着が感じられます。その執着に対して鈴木くんが受け取るのは加納くんをほめているということのみという簡潔さ。実際の世界でも我々が受ける印象もこんなものなのでしょうが、緻密に描写しておいてそれをあっさり捨てるあたりに狂気を感じました。加納くんとここで出会うことはないのですが、鈴木くんはこれをきっかけに陸上部に入ります。
 次のページに移ると、鈴木くんは一生懸命練習するようになっていて、カノウくんとの差に絶望しています。前ページでカノウくんのことは忘れたと言っていたのは嘘でがっつり意識しています。先輩の応援で向かった県総体で、カノウくんを見逃さないと言っています。やっぱりゴリゴリに意識しています。中学からゴリゴリに意識していたと知ると、漫画の部分の読み方が変わりますね。
 次ページでついに初対面が描かれるわけなのですが、BL要素は作者の言うように全く無く、負けて苛立つカノウくんに対して、熱血鈴木くんがライバル宣言をばしっと決めます。もちろん次ページでは鈴木くんは後悔をするわけですが、ごりごりの熱血展開です。
 何も事情を知らないまま好き勝手に言うのですが、第一話第二話はきぼんに残したまま、スピンオフ的に熱血小説としてニノベで公開するのもありだったのではと思います。新都社小説は読者人口が多くはありませんので、BLと熱血共に好きな人はあまりいないのではと思ってしまいます。BLに理解のない人にずかずかと踏み込まれたくないのでしょうか。せっかく面白いのにもったいないなあと要らぬお節介をまた言ってしまいました。
 今回は時間の都合もあり、第一章までの感想とします。

     

「インドマン」
混じるバジル
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=20203

第一皿目 底辺ユーチューバーが変身アクターになった結果wwwwwwwww

 底辺ユーチューバーが動画「パンとか留めるヤツでトリケラトプスの標本をつくってみた」の編集をする場面から始まる本作。個人的に、バッグクロージャーの名前が出てくるかどうかで記憶力の確認をしているので異常に親近感が湧きます。興味が湧いてしまう動画タイトルなのに底辺ユーチューバーということは、動画の出来があまり良くないのでしょう。
 物語の一話目というのは、旅に出る理由や戦い始める理由が明示されることが多いです。そして彼がインドマンに初めて変身した理由は廃品置き場で拾ったベルトです。まったく感情移入ができないです。でもいつか彼が本当の理由みたいなものを見つけたら逆に泣いてしまうかもしれません。戦う理由は妹のためという真っ当なものになるのでご安心を。
 インドマンの設定は基本的にむちゃくちゃです。多種多様の民族、言語、宗教をまとめるというのですが、その手段としては法輪という仏教どまんなかのツールを用いるそうです。偶像崇拝以上に仏陀が悲しむ気がします。私が知らない以上にインドというのはもはやむちゃくちゃなのでしょうか。インドから風評被害で訴えられたら負ける気がします。インドインドインドインドと繰り返して口に出してみたら、途中からドインドインドインドインになりました。暇な方は試してみてください。勢いがあって面白い小説でした。

     

「ソーット ア〜ント オンナin」
kumakatsu666
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=20205

 警察というのは事件が起きてからでないと対応してくれないのでしょうか。身の危険を感じます。感想をここまで書いた後に、私は前回の感想をふと思い出す。小説は断りがない限りフィクションである。表の主題とは別に裏の主題を持つものである。私は過去の自分に助けられ、もう一度本作品と向き合うことにしました。
 本作のタイトル「ソーット ア〜ント オンナin」の元ネタは「ソードアートオンライン」というフルダイブ式のVRゲームが舞台となる小説。VRMMORPGの世界に閉じ込められた登場人物は、ゲームを攻略することによってゲームからの脱出をはかるそうです。VRの世界から抜け出したくても抜け出せないわけです。
 本作に目を移すと語り手はVRの世界に飛び込み、現実との区別が曖昧になっていきます。もちろんこのお話はフィクションです。今回の裏の主題を考えるにおいて、kumakatsu666先生がフィクションの世界の登場人物に事故を投影している点に注目する必要があります。VRと現実。フィクションと現実。kumakatsu666先生はフィクションの世界と現実の世界を行き来しているうちに、何者かによってフィクションの世界に閉じ込められてしまったのでしょう。本小説はそんな先生からのSOSなのです。急いで助けないと、先生はフィクションの世界から出てこれないのかもしれません。先生を助けたい方は急いで先生の執筆現場に向かうべきです。私は絶対に行きません。

     

エクストラ
ドンM
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=20206

 決定論の提示のような導入。そこまで強いことは言ってないですかね。語り手に言わせれば、妹十歌がノックもなく飛び込んできたのは、語り手である姉に流れ星の存在を知らせるためなのでしょう。宇宙に興味があり飛行機の離着陸時間まで把握する妹と、勉強に集中しすぎて目が悪く夜になったことも気づかない姉。どのような物語がここから織りなされていくのか楽しみです。
 学校へ向かう最中、美しい金髪で幼なじみの江口翼が登場します。印象深く現れた妹とは違って、江口翼についてはあまり描かれないまま。重要人物ではないのかなあと思いながら読み進めます。
 次のブロックでは遅刻しそうになりながら学校へ向かう語り手によって、風景描写と心情描写がなされます。語り手は勉強が好きなのかと思いきや、机に齧りついて一日を過ごした後は、酷く虚しい気分になるようです。少し意外な感じがします。今日の小テストでいい点を取れば、と言っていることから語り手にとっての「意味」は勉強そのものより結果にあるのですかね。少しずつキャラクターを理解し始められた気がします。
 テストの結果は、だらだら歩いていた翼の方がよく、語り手は撃沈。語り手を見ていると少し切なくなります。読んでいて語り手の視野の狭さに辛くなります。努力できる人というのは本当に少ないと日々思うので、もう少し色んなことを決めつけずに生きられたらいいのに。連載作品だそうなので、その間にそういった成長が個人的には見たいと思いました。最後の嘘がより一層切なさを呼び起こしました。

     

「退魔を担う彼の場合は」
ソルト
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=19173

 ニノベ小説感想を書かれている鹽竈先生の別名義での連載。私がこの文芸・ニノベ作品感想を担当するにあたりご挨拶差し上げると、寛容に受け止めていただきました。ソルト先生への私信になりますが、改めて感謝申し上げます。忌憚なき感想をということでしたので、感想は他の先生への感想と同様に好き勝手に書かせていただこうと思います。

第一話 陽を背負う者達
 
 場合シリーズということで異能モノを複数作連載、完結なさっているソルト先生。新都社小説とほぼ関わってこなかったため、私は読んでいません。前作を読んでいるほうが楽しめるのかもしれませんが、時間の関係上本作から読み始めます。
 導入は四人の少年少女が河童と対峙しています。異能のベースは五行思想でしょうか。主役は旭、日昏、晶納、昊という四人兄弟のようです。河童を退治した後、晶納だけが殺そうとします。彼の性格が綺麗に印象づけられる一方、人数が多くて残り三人の性格の把握までは第一話ではできませんでした。タイトルが彼達ではなく彼であるところから見て、晶納が主役の中でもメインなのでしょうか。もう少し読んでいかないと分かりそうにないですね。
 最後のブロックで世界観の解説がなされます。更新が多くて読み疲れてきているせいもあるのか、非常に助かります。「陽向」姓の四人は陰陽師として退魔の継承者だそうです。ルーキーということで、荒削りな部分もこの後楽しんでいけそうです。

第二話 退魔師の集落

 前話で退治後の河童との対話を任された昊は、「感応」の異能を備えているそうです。一方で、人外にはそれぞれ本能を併せ持つそうで、河童の場合は胡瓜を食らう程度のもので良かったのですが、これから昊は色々と悩み成長する立場を担うような立場にならざるを得ないのでしょう。まだ十三歳ではなかなかの重責です。人外の扱いに対しては、今は殺すか殺さないか程度の議論しか出てきませんが、これから各々の成長に伴い各々の考え方が出てくると思うと、外野からすると楽しくなりそうです。四人兄弟なのかと思っていたのですが、旭、日昏、晶納は同い年らしいので、集落全体が一族で、兄弟なわけではないのですかね。
 第二話後半では、人面犬の登場が示唆されると共に、晶納の師、陽向是才が登場して、師弟のやりとりが見られます。河童を殺そうとした印象が強い晶納ですが、子どもらしい面を残しており、ほっこりとした気分になりました。

第三話 一筋縄ではいかない任務

 前話で示唆されていたように人面犬の退治が四人組に依頼されますが、本来断れないはずの依頼に対して、長老が四人に依頼を受け入れるかを委ねます。何かきな臭い空気を残したまま四人は承諾します。真名の解放という新しい概念が出てきます。どんなものかという謎解きが持ち越され綺麗な引きができます。また、普段は持ち出されないであろう神代の一振りを持っていく許可が出て、依頼に対してより一層緊迫感が生み出されました。一体どうなってしまうんでしょう。

第四話 長き夜の死闘、開戦

 本話を通じて、第三話で種が撒かれた緊張感が少しずつ高まっていきます。敵が人面犬だけであれば楽だったのですが、ここで第三勢力の存在が提示されます。三つ巴の戦いは書くのは大変でしょうが、読むのは面白いので大歓迎です。お話づくりの勉強になります。半日後の決行が決まった後、場面は転換します。
 視点が四兄弟から人面犬に移ります。視点移動後に陽向を名乗る人物が出てきたので別の陽向が出てきたのかと思うと、それはミスリードで晶納でした。単独行動なのか、と思ったところで本話は終了。作者の思惑通り、引きにまんまと興味を奪われてしまいます。メインに入りそうなところで今回の感想は終了しようと思います。


     

 感想をageました。感想対象日に更新してくださった先生方ありがとうございます。時間の都合上連載作品が思ったより読めませんでした。また、本感想を読んでくださった皆様が各作品に興味を持ち、各作品の読者になれば幸いです。何卒よろしくお願いいたします。
 次回に関しましては以下のとおりです。

■第三回感想対象日
サイコロ (2,4)
日付 2017年6月8日
雑誌 文芸

ご更新よろしくお願いいたします。

       

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