Neetel Inside 文芸新都
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悲鳴が聞こえました。


悲鳴は広場のほうから聞こえます。

広場はいつも 町の子どもがあそんでいます。


王様ははっとしました。

王様は広場へかけだしました。

***********************

広場にはおとなが数人いただけでした。

王様は広場にいた女性に話しかけました。


「なにがあったのだ」


女性は王様のほうをむきました。

しかし女性はなにも言いません。


女性の目はうるんでいました。


「わたし…母親なの」


女性はのどのおくのおくから出したような 痛々しい声で言いました。


「…わたしの子が…いたの…ここに…さっき」


女性はひどくこんらんしているのだと王様は気づきました。


「ここに…いたの。だけど…いま」


女性の目からなみだがしたたります。

女性はがくんとひざをおとしました。


女性はさけびました。


「わたしの子がきえたの」
 

王様の中の不安が ふくらんではじけたようでした。


王様はくちびるをふるわせ ぼそぼそとつぶやきます。


「きえた こどもが いま ははおや

 おとなだけ ひろば 子さらい団――――― 」



王様の中で 商人のことばがこだましました。


*つづく*

       

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