悲鳴が聞こえました。
悲鳴は広場のほうから聞こえます。
広場はいつも 町の子どもがあそんでいます。
王様ははっとしました。
王様は広場へかけだしました。
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広場にはおとなが数人いただけでした。
王様は広場にいた女性に話しかけました。
「なにがあったのだ」
女性は王様のほうをむきました。
しかし女性はなにも言いません。
女性の目はうるんでいました。
「わたし…母親なの」
女性はのどのおくのおくから出したような 痛々しい声で言いました。
「…わたしの子が…いたの…ここに…さっき」
女性はひどくこんらんしているのだと王様は気づきました。
「ここに…いたの。だけど…いま」
女性の目からなみだがしたたります。
女性はがくんとひざをおとしました。
女性はさけびました。
「わたしの子がきえたの」
王様の中の不安が ふくらんではじけたようでした。
王様はくちびるをふるわせ ぼそぼそとつぶやきます。
「きえた こどもが いま ははおや
おとなだけ ひろば 子さらい団――――― 」
王様の中で 商人のことばがこだましました。
*つづく*