Neetel Inside ニートノベル
表紙

魔法少女は男の子!?
でぇともあ~んも初恋の人じゃなきゃダメなの!

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んあ!う、ぐぅ……」
 白い欲望を吐き出しどくどく脈打つ肉棒は一向に治まる気配を見せない。ばかばかばか!なんで治まらないんだよ!?もう午前中だけでも3回抜いたんだぞ。ちらっと時計を確認すると1時間あるはずの昼休みがあと15分で終わってしまう。まだご飯食べてないのに!
 1回のオナニーでさえ長い時間をかけなければならないほど金玉工場、子種製造部はオーバーワークなのにそれを無視して「俺はまだいける!!!」と自己主張する。マイ・バット。いや、バッド・ボーイ。そもそも、学校でオナニーするなんてとんでもない変態なのに、授業を抜け出してまで抜きに行くなんておかしい。でもそうは言ってられないほど昨日の梓さんとのえっちと少女モードの時の1人えっちはぼくには刺激的過ぎたし、今日の授業なんてちょっと気を抜けば昨日の僕の喘ぎ声や快感がフラッシュバックしてすぐにでも出したくなってしまう。それをこらえて、お腹が痛くなったふりをして前かがみで移動して(勃起ちんちんを目立たなくさせるためでもあった)トイレで出すのもそろそろつらい。はぁ、今日はもう早退しようかな。

 結局あのあとも抜きやっと静まった僕の如意棒。空腹と疲労感と時間との闘いによる精神疲労でもう午後は持たないんじゃないか。私服姿のクラスメイト達はもうすぐ昼休みが終わるというのにいまだにがやがや騒がしい。ちなみになぜ私服かというと僕の通うこの学校には制服というものが存在しないからだ。
「おいおい朧、やっぱり顔色悪いぜ。帰った方がいいんじゃねえか?」
「うん、そうするよ。ありがとう」
 心の底からのありがとうをクラスメイトであり、一番の親友である小早川に伝える。男らしくて頼りがいがあって気の使えるサッカー部の親友は頼もしい。せめてこいつがスケベでなければもっと女の子にモテると思うんだけどな。
「ぁ……まって朧君。k、これ」
 ぼそぼそと、牛乳瓶の蓋と同じくらい分厚い眼鏡から死んだ魚のような目を覗かせる、歯切れ悪くしゃべるこいつは及川。どうやらどっかの先輩からぼく宛ての手紙らしく、無表情に渡される。せめて名前くらいは聞いてほしかったな。便箋を破り中身を確認して……硬直する。
「どうした朧、ラブレターかぁ……っておま!?」
 何かを口走ろうとした瞬間に及川は小早川を羽交い絞めにする。
「デリカシーないの、y、良くない。d、だから、嫌われる」
 及川は、ひょろっとしていて不気味な見た目からは想像付かないが喧嘩は滅法強いらしい。なんとも、小学生の時にいじめっ子を返り討ちにしようと一生懸命道場に通ったんだとか。せめてもう少し見た目か性格のどちらかを直せば絡まれる確率も減ったんじゃないのかなぁと思うが、小早川の乱(ぼくのクラスでは小早川関係が問題を起こるそうとする、もしくは問題を起こすたびにそう呼んでいる)を未然に防いでくれた。そもそもこんな内容、絶対に見せたくない。

甲賀 朧君へ
昨日は楽しかったです。でも、ゆっくりお話し出来なかったのと連絡先を交換し忘れていたのを思い出したので、一緒に入れておきます。良かったら今日も一緒に、2人っきりで家までご一緒できたらなとも思います。では放課後、屋上で待ってます。

双月 梓
 何を言われるか参った物じゃないぞ。それに……。ちらっと窓際に目を向けるとすっとまっすぐに降りたショートカットが、ボーイッシュというかエネルギッシュというか、活発的な印象を受け、比べると失礼だが及川とは正反対に大きく澄んだ瞳がすべてを吸い込むような不思議な魅力を持っていて。まぁプロポーションは一般の高校生よりやや、いやかなり劣っているけどそんなの関係ない。なにより笑顔がとっても素敵な彼女が黙々と小説のページをめくっている。彼女の制服姿ってどうなんだろうなと想像するたびにぼくはついつい鼻をのばしてしまう。
 双月 若葉。ぼくの初恋の女性であり初めてを捧げてしまった梓さんの妹だ。なぜぼくが彼女に惚れているのかは長くなるので後日お話ししよう。
「ったくよぉ、そんなにきつく締めるんじゃねーよ。流石に俺もわきまえてるっつうの。ん?封筒から何か落ちたぞなになに……PS、嘘です♡あたし朧君のことはな~んでも知ってるよ♡さっきの約束、守らなかったらも~っといじめちゃうからね。あなたのおねぇちゃんより……朧!!!お前!!!」
 この瞬間、ぼくの悲鳴、何かが砕かれる鈍い音、小早川の悲鳴が順に教室に響いた。



「g、ごめん。ふせ、防げなかった」
 分厚いレンズの奥底の瞳は反省の色をしていた。それが気の毒になって、いやいや良いんだよと逆にこっちが気を使ってしまう。ちなみに小早川はというとさっきの鈍い音(普段は、小早川が及川に制裁される度に悪態をつく女子たちが引くほど、強いていうなら生命維持機能に何らかの障害を負ってもおかしくないと感じるほどだ)は何だったのだろうかと逆に心配になるほど元気にサッカー部の部室へ駆けていった。及川曰く“ぼくに都合の悪い記憶を消した”らしいがその時の顔に“本気”を感じてそれ以上は本能が命令していたというのもあって聞こうとも思わなかった。
「でも……本当に大丈夫なの?」
「大丈夫、あいつはこの程度じゃ死なない」
 珍しくはっきりしゃべる及川にぼくは思わず目を丸くする。
「o、朧くんも、g……って」
 及川……なんか少年漫画のライバルみたいな感じで小早川のことを語ってるけどぼくたちまだ会って2カ月だよな。なにがあったんだよ。
 及川のことをちょっとかっこいいなと思った瞬間、及川とすれ違った女子達の「なにあいつキモ。あの陰キャまじ不潔」という言葉でぼくの表情は険しくなる。
 及川……幸せになれよ。また明日会うクラスメートに心の中で別れを告げて階段を駆け上る。屋上で待っているあの人に会うために。

       

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Neetsha