Neetel Inside ニートノベル
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夕焼けに照らされたグラウンド。
そこには先輩達がせっせと
練習の準備をしている。
今年入って来た1年生はぱっと見でも
先輩達と同じくらいの人数がいるだろうか。
とにかく今年の1年生は今山高校野球部の中でも
特別大人数な世代だった。
おそらく色々な市町村から集まったのだろう。

「俺は11を背負うために来たんだ!
 負けてらんねー!」

準備が終わりいよいよ練習がはじまる!
が、1年生は体力強化のために
5キロ走が最初のメニューだった。

「マジかよ…」
覚悟はしていたが、中学野球を引退してから
走ることなど全くしてなかった佑樹にとって
この五キロ走は正に体力の低下を
感じざるを得なかった。
「ハァ…ハァ…今何キロなんだよ…」
息が上がり思考もままならず足も重くなっていく。
もうムリ…そんな言葉が頭をよぎり
集団から離されそうになった時、
「落ちんな!このペースで合わせろ!」
「最後まで頑張ろうぜ!」
今日ここで会ったばかりの二人に背中を押された。
物理的に。
「これを乗り越えないとダメだ!!」
佑樹の折れかけた気持ちが立ち直った。

キツイのは俺だけじゃない!
みんなキツイのは一緒なんだ!
オレだけラクできるかよ!

足も重く思考もほぼ停止していたが、
気合と背中を押してくれる二人のおかげで見事
全員と同じペースで完走をすることができた。
「ナイスラン!」
背中を押してくれた二人から褒められた。
小さなことかもしれないが乗り越えたことで
少し気持ちが強くなった気がした。


       

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