Neetel Inside ベータマガジン
表紙

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短編小説集「それぞれの日常」より一枚描かせていただきました。



感じたテーマ
・息苦しさ、退屈さ
・雑誌を立ち読みしている
・大人になり、社会へ順応することへの不安のようなもの
・時間の流れ


短編とありますが文章の長さが掌編小説くらいだったのと、
「それぞれの」というタイトルから3話まで読みました。
私がこの作品を読んで一貫して感じたテーマは
「時間」と「大人社会に溶け込んでいくということ」でした。

ニートノベルで連載してますがライトノベルというにはあまりに文学的。
純文学というにはあまりに物語がなく、
終始、独白文のように情景や心情が淡々と語られています。

表紙のテーマに非常に悩みました。
というのも、この小説にコミック的・アニメーション的な絵柄が合うようには思えなかったからです。
むしろ油絵とか、写真とか。もっというと岩波文庫のような表紙すら合うとも思います。
(村上春樹の書籍の表紙が脳裏に浮かびました)

雰囲気は全体的に暗め。登場人物は高校生が成長して最終的に27歳になります。
ターゲット層は、そうですね。恐らく大学生から新社会人くらいの男性。
ここが一番共感しやすい読者層と予想。



以上を頭に入れた状態でラフスケッチを何枚か書きます。


候補のひとつとして残った構図は、
「手前に人物、中間に川、遠景にビル群がある一枚」でした。
遠景のビル群を「大人の世界」と置き換え、自分はまだその手前の安全な場所にいる・・・
そんな思いを込めました。

絵柄ですが、タイトルに「日常」とついてる点に注目します。
日常とついているタイトルに「日常的な絵」を描いては意外性がありません。
つまり、イラストとタイトルが一致しすぎてチラ見しても通り過ぎられてしまう危険があります。

おぼろげながら、「緊迫した世界を描き、見た人に
「どういう物語があってこの絵にたどり着いたんだ?」
と想像力を描きたてるような世界観重視の絵がいいかなと思いました。


結局その案を採用して描き始めます。しかし問題が。
中央のキャラクターはセーラー服を着た女の子を描いていました。
これは「あえて掌編小説の登場人物をぼかしておこう」という案でしたが、
肝心の作品に女の子はほとんど登場もせず、統合性が行方不明になってしまいました。

「なんとなく雰囲気は感じるけどよく分からない絵だな」

泣く泣く没にします。(文の最後に掲載します)




しばらくベッドで寝ながら構想を練り続けます。
はっと浮かんだ景色を見て「これだ」と思ったのが、完成した↑の一枚です。


テーマは「色で目立たせる!目を引く!赤!赤!赤!」です(笑)
絵よりはデザインでの勝負が、この作品を「本屋でより売るため」に有効と判断。

モチーフとして雑誌を読む少年。
水中で溺れるような息苦しさ。
時間のテーマを時計に、大人のテーマを歯車に込めました。


以下の写真に潜り込ませても、まぁまぁ目立つほうではないでしょうか。


       

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