Neetel Inside 文芸新都
表紙

熱いトタン屋根の上
アッー!!青春の日々よ

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 それは心中和みきった昼休み、日当たり良好、俺の仲間数人を残しクラスメートが食事の
ため外出した教室の窓際の席で俺がうたた寝している時に起こった。
 薄れた意識の片隅に聞こえる、奴が履いている底の固いティンバーランド社製登山靴の
特徴的な足音が止み、そして

 パッーン

 教室中に響いた、かんしゃく玉を破裂させたような音が俺の脳味噌から睡魔を追い出した。
 こんな事をするのは奴しかいない。俺は数秒後に起こるだろう災いを数ダース程予想し
て面を上げた。案の定、教室の後ろにある黒板の前に奴が立っていて、右手には先程の破
裂音の元であろう、パーティークラッカーがあった。

「お知らせです!」

 体育祭で言う選手宣誓のポーズを取ると、奴は肩に提げた拡声器を使い声を張り上げた。

「本日放課ピッー三時半、俺とここにいる豊君で野球大会します!参加希望者は奮って御参
加下さい。以上!!」

 まさに風の如く、そう言うと奴は拡声器のハウリングと共に教室から走り去って行った。
 ツッコミを挟む隙も無い。クラッカーの音で全員が呆然となったところをSATのよう
に急襲して、……任務を終えた。
 皆一様にポカーンとした顔で、しばらくは事態を飲み込んでいなかった。
 やがて、誰かが既にこの教室への注入が始められていた重苦しい空気を助長するかのよ
うに口を開いた。

「なぁ……非常にまずくないか?」

 俺を含め全員がゆっくりと頷き、そして頭を抱えたその時だった。
 俺の携帯電話が激しく振動して、メールの着信を伝えた。

「……いっそ死にたい」

 表示されたメッセージの内容を飲み込むのにたっぷり三秒、しばらくは任意で脳味噌の
機能が止まったらしい。
“こっちは相手チーム見付けたから、後四人スカウトしておいてね!断ったら……分かる
よね?アッーだよ、アッー”

       

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