Neetel Inside 文芸新都
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「マジで?」
「うん、良いよ。マネージャー、やってあげる!」




 昼休み、購買部に出来る長蛇の列に並び、うんざりしていると

「佐々木お兄さん!」

 そう言われ、不意にポロシャツの背中を引っ張られた。振り返ると、恵比寿顔の井上さ
んがいた。その頭には、何処で手に入れたのかうちの野球部のキャップが……
 昨日の練習中、偶然会えた彼女に当然俺は入部を打診した。




「あー大輔君お兄ちゃん!この学校だったんだー!」

 鼻に掛かるその声が軽やかに弾んだ。

「おい、豊……井上さんとはどういったご関係で?」

 テンションの高くなった俺と井上さんに置いてきぼりを食らっていた他メンバーが訊ね
てきた。

「桜井君も野球部だったんだ!」

 同じクラスなんだ……と軽く桜井に説明されてから

「あぁ、大輔……弟のチームメイトのお姉さん」

 中学まで地域のクラブにいたから野球出来るよ、と俺は彼女をチームの面々に紹介した。
 弟のチームの親子大会に参加した時、彼女も遊びに来ていて飛び入りで足元のおっつか
ないおっさんの代打を務め、見事に三遊間を破る二塁打を放っていた。

「……あのさ、藪から棒だけど井上さん」

 俺は今のこの現状をありのままに井上さんに話した。正直、野球やるために彼女を利用
してんなーとか思ったけど、ぶっちゃけて俺も女マネは欲しいのだ。

「……それでそれで」

 説明を聞く彼女はとても乗り気で、説明する俺も気が良かった。栗色の髪に丸くて大き
な瞳、可愛らしいビジュアルの彼女がマネージャーなら、と思うとどんなヤツにとっても
良いモチベーションになるだろう。
 ここはミスれない。彼女を野球部に入れるんだ。

「で、どうかな?まだ部活選んでるのであれば野球部に……」

 期待の眼差しで見つめているのは、俺だけじゃない。
 中学まで野球をやってたくらい好きならば、きっと

「うんうん、だが断る……!!」
「いよっしゃ、え?あれ?……ええええええええ!?」

       

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