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★新都社作品感想2018★
2017年10月27日「ラーメンジェットハリケーン」

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2017年10月26日更新作品から


「ラーメンジェットハリケーン」http://teiden.shime-saba.com/rjh.html
「怪人ハンターズ」 http://villainhunters.web.fc2.com/




 「ラーメンジェットハリケーン」は停電先生の作品だ。
 これまでも多くの漫画を描いてこられた停電先生だが、本作が一番気楽に読めてしかも面白い。
 一見するとサラッとラフに描いていて、ノリ重視で余り先まで考えずに描いているように見えるが、その中でワンコというヒロインの使い勝手の良さが際立つ。
 違っていたら申し訳ないが、本作は停電先生が「肩ひじ張らずに気楽に描ける」ということをコンセプトにしてキャラもストーリーも作られている感じがするのだ。
 ワンコはとことん汚れキャラである。喫煙者でヤンキールックスでフリーター。20歳とは思えないほどやさぐれてもいる。
 第二話でいきなりトラックに轢かれ、第四話でお漏らしして、第六話で公衆の面前素っ裸に剥かれ、第七話で歌声で街を破壊し、第八話でスナック勤めとなり、第九話で亀甲縛りされ、第十話で浣腸を受けおならを漏らし、第十一話でまたトラックに轢かれて誘拐され、第十二話で男運の無さを感じさせ、第十三話では元カレの存在と非処女であることを暴露され、また公衆の面前で裸に剥かれ……何だか書いてて悲しくなってくるぐらい酷い目に遭っている。が、それでも何だかギャグで済んでしまうのがワンコというキャラの逞しさであり、頼もしさであると思う。異常に使い勝手が良い。何をやっても死ななそうな安心感がある。

 そして、この「ヒロインの使い勝手の良さ」で対比しやすいと感じたので、他の作品で申し訳ないが、阿比留上級大将先生の「怪人ハンターズ」の話もしたいと思う。 
 最近、怪人ハンターズヒロインのひよこが死んだ。それも物語はまだまだ中盤という感じなのに、いくら設定上は前立腺マスターゴトケンと同格とされるほど強いとされているか知らないが、そんなに重要そうに見えないぶっさいくな敵怪人にあっさりと殺されて火葬までされてしまった。生き返る余地は無いように見える。なぜこうもあっさりとひよこは死んだのか?
 ひよこは純粋で処女で見た目も清楚な女子高生である。異常性癖者がはびこる怪人ハンターズ世界において、身近にいる両親まで毎晩ケダモノセックスしている中でどうしてこう純粋でいられるのかと不思議になるほど純粋だ。
 また、彼女だって凶悪な怪人たちに襲われてもしぶとく生き延びてきた。腹パンマンや同じハンターズ仲間であるはずのⅥ番隊に貞操の危機を感じるようなシーンもあった。だからまさか、母音イェーガーの時だって「いーとーまきまき」されても死ぬとは思っていなかった。でも死んだ。
 そこで感じたのが、「いーとーまきまき」に見られる作者の幼児的残虐性だ。
 今時の若者はどうか知らないが、私が子供の頃には田んぼで捕まえたカエルの腹に爆竹を詰めて吹っ飛ばしたり、カブトムシやクワガタやカマキリなんかを捕まえてぶんぶん振り回して足を引きちぎったり、蟻の巣を見つけて小便ひっかけて水没させたりと、まぁ割と酷いことをしてきた。
 ひよこやアザミや鷺ノ宮愛が受けたような酷い扱いというのは、小学生男子がやってる一見引いちゃうような残虐な所業を大真面目に高画力で再現しているように感じるのだ。彼女らに酷いことをしている連中の、それはもう純粋なとても良い笑顔というのは、小学生男子を思わせる。また、小学生男子というのは「好きな子はいじめちゃう」傾向がある。ひよこが処女のまま死んだのは、作者なりのひよこへの愛だと思う。
 そういえば、ひよこと同じ女子高生キャラのアザミも、アナルはとことん犯されてしまっているが、おまんこだけは死守されている。このこだわりは一体何なんだろうか。それもまた、少年というか童貞的な愛だろうか。
 ただ、ひよこやアザミを処女のままにするのは、物語にとっては自縄自縛となってしまう。挙句が処女を失わせるぐらいなら殺してしまえとなる。
 もっとも、ひよこやアザミは、処女で見た目も良いが、まったくセックスしたいと思えるような色気は無いキャラだし、別に絡みもそんなに見たいとも思わない。
 漫画におけるヒロインの処女性というのは、物語中の変態おじさんにレイプされたりしないかというハラハラドキドキ感はあるけど、そんな処女ヒロインを破瓜させるに相応しいと思えるような読者の分身的な男性キャラが出てこない限り、足を引っ張ると思う。

 ラーメンジェットハリケーンの話に戻そう。
 一方、ワンコは非処女でたびたび裸に剥かれるようなキャラだが、どうしようもなくそそる。ちょいと頼めばやらせてくれそうなところがいい。有象無象の読者の手に届きそうなキャラであり、親近感を抱く。
 また、本作は「ワンコが酷い目に遭い続ける」のが一つのキモとなっているので、読者としては「ワンコ、幸せになってくれー!」と切実に感じてしまう。
 まぁ、ワンコが幸せになったら物語が終わってしまうのだが…。
 第一話から登場している森山と無人島でいい感じになってきているが、終わりが近いのだろうか?
 楽しみに続きも待ちたいと思う。
 怪人ハンターズについてはまた後日、新章の更新がされれば改めて語りたいと思う。






以上です。

       

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