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★新都社作品感想2018★
2018年1月8日「爆弾エモーション」

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2017年12月25日更新作品から



「爆弾エモーション」http://jontaro.web.fc2.com/bakuemotop.html



 「ガールズ&ヴァンツァー」の作者さんの作品。
 こちらは同じ女子高生を題材としつつもロボとかは出てこず、ごく普通の一般人男女による青春物語となっているようです。
 爆弾エモーションというタイトルの由来が面白い。ヒロインの宮原まつりは普段は感情をまったく見せないが、喜怒哀楽や様々な感情を呼び起こされるたびに心の中で感情のカウントがたまっていき、それが一定回数になると爆発したように泣き叫んだり大笑いしたりしてしまうという。そのカウントが本人も「あ、次の一回で大笑いしちゃう」なんて自覚しているというのだ。そんな宮原さんがちょっと気になっている高城という男の子が読者が自分を重ね合わせるギャルゲの主人公ポジションとなっている。
 まずは高城について語りたい。彼が結構良い味を出している。個人的にギャルゲやエロゲをプレイする時に思っているのが、ヒロインやその周りの女性キャラが可愛くて魅力的なのは当たり前の話で、プレイヤーが自分を重ね合わせる男主人公というか竿役に好感が持てるかどうかが重要だ。
 その点、高城は合格点と言える。頼まれごとを断れない性格というのも良い。自転車のパンクを直すエピソードは特に好感度が上がった。宮原の秘密も軽々しく誰かに話したりしないし、変にかっこつけて斜めに構えたりもしないし、適度にスケベ心があるところも見せている。ヒロインを描く以上に、男性読者が共感できるかどうかという意外に繊細な問題をクリアしている。
 宮原についてはエヴァンゲリオンの綾波レイの系譜かなーというのがどうしても頭をよぎってしまう。でもカウントの設定は面白いし、感情を爆発させたときの表情がとても良く、魅力的だ。これもやはりヤシマ作戦を終えた時の綾波の笑顔を思い浮かべてしまうのだが、普段感情を見せない女の子がふとした時に見せる感情の発露ってやはり王道的な魅力がある。
 脇を固める人物たちも魅力的で、ちゃんとキャラが立っている。漫画的な分かりやすい性格をしているが、高校生感が出ている。主人公やヒロインになれなくても、せめて彼らのような高校生活を送りたかったなーと思ってしまう。主人公の男友達で筋肉ムキムキ男の稲田なんかはよく高城が女の子らとキャッキャウフフしているのを物騒なオーラを放って「このリア充が!」という目で見ているが、リアルなモブ男子高校生から見れば、彼でも十分リア充ではないかと思う。
 そして、特筆すべきは褐色祭りで非常に目立っていた軍曹。よくある男だと思っていた相手が可愛い女の子だった!というやつなのだが、ネトゲで交流していて四年も気づかなかったというのも現代的で面白い。というかあのノリだと高城は男子高校生特有の下ネタなんかも気軽に軍曹に話していたような気がするのだが…(笑)
 それにしても魅力的な女の子として軍曹が描かれている。それまでずっとモノクロで描かれていたのに、軍曹だけ褐色肌をまぶしくカラーで描くほどの優遇ぶり。タイトルの由来にもなっている宮原が普通にヒロインで高城の相手役となるんだろうが、対抗馬の軍曹が強すぎてわからなくなってきた。軍曹が出たおかげで、良い意味で展開が読めなくなってきて、実に面白い。とはいえ、軍曹ルートもないこともないだろうが、流石に最後には宮原に落ち着くだろう。でもそれまで良い意味で物語をひっかきまわして欲しいところだ。
 というか、「長い導火線」ってのは、宮原と軍曹と高城との三角関係による恋愛もしくは嫉妬感情だろうなーと思っている。
 続きも楽しみである。






以上です。

       

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