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★新都社作品感想2018★
2017年10月18日「せいちん!〜青春珍騒曲〜」

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2017年10月18日更新作品から



「せいちん! 青春珍騒曲」http://kcidraim.web.fc2.com/index.html





 らいむ先生作品。
 コニーの人気作が続く。
 タグ付けして更新して頂いているので優先して感想を書こうと思う。
 まずは三周年おめでとうございます。
 もうそんなに長く続いていたのかと驚いた。
 本作は常に新作同様のフレッシュな勢いを保っているからだ。
 長期連載作特有の「固定読者で回していて、新規読者が入りにくい」感じが全くしない。
 本作は連作短編集で、同じ登場人物を使って様々な話を見せてくれている。そのため、長期連載でも一つの長いストーリーを見ているわけではないので、最初から読まなくてもいいし、飛ばし飛ばし好きにどの話から読んでも面白い。絵柄も可愛い。非常に取っつきやすい作品だと思う。

 登場人物へ対するキャラ付けも最低限だ。カズヨシはバカで、ミサオは優秀、ジョバはゲイ。というぐらいの認識を読者に与えるだけ。それ以上の深くて複雑なキャラ付けは、話によって色んな役割を与えるキャスト達には不要という感じだ。
 が、それでいいと思う。深いキャラ付けはストーリーに重厚さをもたらすが、一つの長いストーリーを見せるわけではない連作短編集だと、一つか二つの話を見逃してしまうとつながりが分からなくなってしまってノイズになってしまう。

 唯一の例外は消しピン編である。これはせいちん!で最も長く続いているシリーズになる。長く続きすぎたせいか、読者を飽きさせないためか、らいむ先生が消しピン編に飽きたせいか、消しピン編を進めながらも他の短編を並行して描いている。全体でも38話なのに、消しピン編がある19話だけ19-0、19-1、19-2…と続けて25話分もあり、今も続いている。16名参加のトーナメント制で、それを1回戦からずっと律儀に飛ばすことなく継続しているのだ。多分だが…らいむ先生、これ後悔してない? いや、楽しんで描いているのならいいんだけど。
 他の漫画を引き合いに出して申し訳ないが、「発汗のワンダーランド」のサウナバトルとか、「スカイスイマー」の紙飛行機バトルのように。普通のバトル漫画じゃ題材にしないようなもので馬鹿バトルをやるのって、それ自体が面白い。それを題材にする!?というもので、オンリーワンを演出できる。
 消しピン編もそれなりに成功していてそれなりに面白い。ただ、いかんせん長いし、こう長いと「キャラ付けが最低限」だった弊害が出てきている。登場人物はそれなりに個性的だし、消しピン編の一つ一つの話の中では楽しめるけど、トーナメント通じて強く印象に残ったキャラクターは一人もいない。長々と続けているので、もしやこの中で登場人物同士の掛け合いやドラマがもっと生まれてくるかと辛抱強く見ていたが、奇人変人のキャラクターが多数登場して瞬間的には楽しませてはくれたがそれだけで、ドラマというほどのものは生まれなかった。なので、余計に長く続けられても深い味わいはなく、ミサオの料理のように飽きがきた。
 その後、野球編や料理編で、通常の1話分より多少長い3~4話程度のシリーズをやっているが、いずれも良くまとまっていた。消しピン編も本来はこれぐらいの長さにとどめるべきだったと思われる。まぁやっちゃったもんはしょうがないよね。それよりも読者が若干飽き始めている中でも根気よく消しピン編を投げずに続けて堂々と決勝戦まで辿り着いたことを賞賛すべきだ。
 長編ドラマで感動を生んだりはなかったが、長編を描く力自体はあると思う。
 よって、やはり気軽に読める連作短編集、広く浅くというスタイルがらいむ先生には合っているようだ。ツイッターで3~4ページ漫画なんか描いたらバズる可能性が凄く高いと思う。
 それに、少年漫画的なギャグやダジャレや下品なネタの使い方が上手い。エログロなどに頼らず、まっとうに漫画の面白さを見せてくれるらいむ先生の才能は溢れんばかりだ。
 今後も今のスタイルを変えずに楽しませて欲しいと思う。




以上です。
 

       

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