Neetel Inside 文芸新都
表紙

秋乃シショホ作品集
束の間

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束の間の現実逃避に溺れていた。

ただ何も考えずに君を求める夜。

僕らの息遣いだけがこだました。

束の間の休息には朝が憎かった。

寝ぼけた君の髪、金と黒の狭間に口づけする。

シャンプーの残り香がほのかに香る。

そうしてお互いの存在を確かめるように抱きしめ合った。

夕日がすっかり暮れてしまって、暗闇が辺りを包む頃

僕らはそれぞれの家路につく。

束の間の愛を、束の間の現実に引き戻すように。

       

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