Neetel Inside 文芸新都
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2月8日/カルト教団の動くマネキン

2階建てのプレハブにいる。宗教団体の本部で、賛美歌を流して福音書を読み上げている。
閉め切った襖の奥には軟禁された男がひとり。
1階に降りると、数人の信者のほか、パンフレットを持ったマネキンが並んでいる。そのうちの1体が自分に合わせて動き始めた。
不思議なカラクリだと感心していると、そんな仕掛けはない、と信者が驚く。
マネキンはヒステリーを起こしたような声で私に話かけてくる。
そしてぎこちない動きで抱きついてくる。表情は無機質で、壊れた機械のような動きで。
逃げだしたけれども、出口の手前で冷たい手が私の腕を捕まえる。

       

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