2018年5月

5月7日/プラハの長い夜

旧共産圏風の、たぶんチェコかどこかの、寂れたマンションの一室。
私は5階に住んでいて、2部屋を借りているらしい。
片方は狭いけど小奇麗な部屋で、もう片方は広いけれど薄汚れていて、地面にコケなども生えている。
小奇麗な方の部屋にはカップルが1組。私は隣に座り、会話に耳を傾ける。
どこか芸術的な映画を想起させる回りくどい言い回し。ロケーションも含めて、ミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』に影響を受けている気がする。
男性が突然、ケーキを焼こうと言い出す。「僕の作るケーキは絶品なんだ。きっとね」
私は窓を開けて屋上に繋がるベランダへと出る。レンガ造りの外壁は、所々欠け落ちている。
外は雪が降っているけれど、庭ではバスケットをやっているグループがいる。
突然、屋上から飛び降りたい気分に駆られる。けれど、5階では死ぬことができなさそうなので思いとどまる。