Neetel Inside 文芸新都
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意志と表象としての世界
2017年12月

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12月18日/死臭に生えるキノコ

殺人現場や自殺があった部屋にだけ生えるキノコがある。
それを数人で、廃墟になったマンションまで探しに行く。
部屋はボロボロで床板などは今にも崩れ落ちそう。
枕の中や部屋の隅など、キノコが生えそうな場所を探すけど見つからない。
そもそもここは殺人事件のあった現場だったのだろうか?と話す。
その事については間違いない。なぜなら私がここで◯◯を殺したのだから。
結局キノコは見つからず、部屋を出る事にする。
押入れからは恐ろしい表情をした◯◯の顔がぼんやりと浮かび、こちらを見つめている。

     

12月20日/映画館のように

バスに乗っている。とても広く暗く、まるで映画館のような。
周りを見回してみると、80人位は乗っているらしい。
顔見知りも沢山いる。ただ、お互いに知らないふりをしている。
その間にぽつりぽつりと外国の人や老人が座っている。
本を読みながら、時折顔を上げて窓の外を眺めると古い街並みが続いている。
そうかと思えば、突然沼だらけの寂しい場所になったり、山を登ったりと忙しない。
ショッピングモールで迷って帰ることにしたのだったな、と思い出す。
誰かが車掌に二言三言話しかけて、そのまま降りる。
実家が近づいてきたので次の駅でボクも降りるべきなんだろう。

     

12月22日/へどろ

内臓と血を混ぜ込んだような、どす黒く細い道を歩いて行く。
足場は50cmほどで、踏み外せば恐らく命は無い。
ぬめぬめとした地面に足を取られながら歩いていると、スライム状の塊が巨大な目を見開いて追ってくる。
途中何度も捕まりそうになりながら必死に逃げる。
そのうちに、ぽっかりと空いた大きな穴に突き当たる。底は見えない。
捕まる寸前に、軽く助走をつけて、穴へと飛び込む。

     

12月24日/モンマルトル、あるいはペール=ラシェーズで

川の流れる西欧の墓地にいる。墓荒らしをするために。
かなり古くからある場所で、ひとつひとつがカタコンベになっている。
どの墓を暴くかサイコロで決める。
いくつか墓を掘り、中に入ったけれど目的のものは出てこない。
そもそも私は、何を見つけようとしているのだろうか。
そのうちに日が昇り始めたので、見つからないうちに立ち去る。

     

12月25日/中央アフリカのピッツェリア

ピザを食べに中央アフリカへと旅行する。
ベルギーの植民地だった名残でピザ屋がたくさんあるんだ、と友人。
(無論、ピザはイタリアが発祥の料理。だけど、夢の中では納得していた)
現地に到着すると、中学校時代の同級生がNGOとして働いている。
彼らにピザ作りが盛んな理由や調理法などを聞く。ピザは食べなかった。
日本に帰ると車道は廃止され、個人営業の路面電車が街中を行き交っている。
しばらく電車を待っていたけれど、網の目のような線路の上をひっきりなしに走っているのに、駅には1時間に1本程度しか来ないというので、券を払い戻して歩く。

     

12月27日/天井裏の散歩者

商店街の中にマンションがある。その2階が私の部屋らしい。
狭い階段を上がると、インド料理店が店を構えている。
その横の通路を通りドアを開けると、確かに自分の部屋という実感がある。ただ、造りが何から何まで全く違う、明らかに他人の部屋だ。
荷物を置いて上を見上げると、天井に穴が開いていて屋根裏に行ける。
はしごを使い中に入ると、体育館ほどの広さの部屋に繋がっていた。
まるで江戸川乱歩の小説みたいだな、なんて考えていると住人の老婆と鉢合わせたので、会釈をして自分の部屋に戻る。戻った先では、僕は着流しを着た浪人になっていた。

     

12月28日/数千メートルの地下世界の空

石造りの地下室をひたすら降りている。
これまでにどれだけ降りているのか分からないけれど、おそらく数日程度は。
どのフロアも迷路のような造りで、行き止まりや偽の扉が邪魔をする。
すでに地下数千メートルという深さなのに時折屋外に出る。
朝かと思えば夜、雨だったり晴れていたり、日本だったり外国だったりと安定しない。
西洋風の庭に出て渡り廊下を渡っていると、遠くには山脈が見えた。

       

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