「マクロビ」と言われ、一瞬、別世界に意識が行った、のは言い過ぎだが、軽いめまいを覚えた。
いや待て、良くある「流行の健康食で~」のミーハーなやつかもしれない。

「実は私ね、そういうの勉強しててさ。勉強とかにお金かかるんだよねぇ」
これは真性のようだ。

「へ、へぇ~。大変だね。資格とかあるの?」
分かっている、分かっているのだ。よく分からない団体が認定する資格があることも。
その資格を持った人間が、その民間療法を実施して医療事故として訴えられたとき「適切な処置をすれば問題なかった」と完全に切り捨てにかかった団体が認定する資格があることも。
「あのね、○○っていう…」
ツボミさんの話は止まらない。よほど土産のお菓子が気に入ったのか、ひたすら将来の夢やらみんなを健康にしたいやらを語ってきた。
やはりこういう女性は周りに賛同してくれる人は少ないようで、家族には邪険にされ、友人関係は崩壊、結局その健康セミナーで知り合った人くらいしか友人関係も無いらしい。
で、そういうのは金がかかって、そのお金が昼の仕事だけでは足りないのでソープをしているとのことだった。


健康の為なら死んでもいい


まさにこの言葉がぴったりだと思った。
プレイ前にこれはきつかった。ある意味過去のトラウマを蘇らせられるようなエグさ。
風呂に誘われても、風呂からベッドに戻ってもまだ喋っている。
時計を見ると…部屋に入ってから20分…20分!?
正直すでに1時間くらい話をきかされていた感覚だった。
そりゃ1時間も話していたら、とっくに受付からコールが来ているだろう。


ここで私は吹っ切れた。
いつもは嬢にされるがままを楽しむMよりのプレイだった。性的なことを自分から言い出すことが出来ないタイプなのだ。
が、どうでもよくなった。
嬢からどう思われようが、2度目は無いので積極的にやろうと。

私の横でベッドに腰をかけ、全裸で喋り続けているツボミさんに後ろから抱きつく。
「そろそろ、いい?こんないい身体が横にいたら我慢できないよ」
そう。健康に気を使っているだけあるからか、スタイルはいい。くびれもしっかりあるし、胸の張りも肌の質も綺麗なのだ。単に若いから、ということもあるだろうが。
「え~」などと笑いながら、私が胸を揉み始めると、プレイモードに切り替えたようだ。

目を閉じて気持ちよさそうな顔つきになるツボミさん。
そのまま私はツボミさんの股間に手を伸ばし、刺激する。
控えめな喘ぎ声を上げ始めたので、ツボミさんをベッドに寝かせ、クンニを始めた。

「健康に気を使ってるからここも甘いね」
と、気持ちの悪いことを言う私。が、意外にもツボミさんにはこの言葉が刺さったようだ。
「ん…もっとして…」
さっきまでの濡れとは明らかに違う。愛液が溢れてきて、あっという間にツボミさんの尻のほうまでびしょびしょになった。
喘ぎ声も大きくなり、たまに身体をビクッと震わせる。

「じゃあ今度はツボミさんも」

私が上で69の体勢になり、ツボミさんにしゃぶらせる。
自分が上で69は初めてだったが、あまりのどの奥まで突き刺さないよう腰を浮かせるのがつらい。
「ほんと初めての味だよ」「肌が綺麗だ」
とところどころでこんな台詞を吐く私。
体勢を変え、ツボミさんの横に寝転がり、手マンを続けながら、全身いい匂いだ、マクロビのおかげだ、と心にも無いことを言い、演技を楽しむ私。
そして、
「このまま入れようか」
と私は言った。

生挿入。

嬢と対面する前、男性店員に毎回必ず言われている「衛生器具着用の店です」。
店としてはゴム無しの本番は禁止行為だ。
しかし、嬢によっては客をつけるために秘密で行う場合もある。嬢が同意ならば、店側も強く言うことも無い。同意が無ければ嬢が受付にコールしてプレイ中断、男性店員からの説教となるが。

「ん~、いいよぉ?」

ツボミさんから意外な答えが返ってきた。
まさかのOK。
が、これには私が躊躇した。「え~、だめ」「うん、じゃあゴムつけてしよっか」という流れを予想していた。
正直なところ、生挿入にはさほど惹かれない。
ゴム無しだとやはり刺激が強い。早漏には毒だ。
そして病気。こんな簡単にゴム無しを受け入れるということは、他の客にも同様なことをしている可能性もある。そうなると、病気を貰う可能性が高い。
ソープに来て病気が怖いとは何事だ、と言う方もいるかもしれないが、嫌なものは嫌だ。
ゴムは性病の予防に完全ではないものの十分効果はある。

「いやいや、お店のルールは守るよ」

そう言って身体を起こす私に、わかった、とだけ言ってゴムを取り出し、ツボミさんは口でつけた。

正常位で挿入開始。既にびしょびしょだったこともあり、すんなりと入った。
ガシガシと腰を打ちつけ、キスをする。
不思議とすぐに射精まで至らない。早漏じゃなくなったのか私は。いや違う。
ツボミさんの中は緩い方だった。おかげで心置きなく腰を振れる。
疲れたので騎乗位で動いてもらうも、まだイく様子が無かった為、ツボミさんを抱きしめて下から突き上げる。
ようやく射精感が込み上げてきたので、そのまま発射。
お互い、はぁはぁと息を荒げてしばらく抱き合っていた。


10分前のアラームが鳴った。
急いで後処理をし、風呂に入って、服を着る。

「お兄さん、とっても気持ちよかったよ」
と、ツボミさんが言う。こんなことを言われたのは初めてだ。もちろん本心かは分からないが。

帰り際、エレベータを待っていると
「お菓子ほんとうにありがとね」
と相変わらずの喜びように若干困惑しながらも、まぁ本人の好きなようにすればいいと思い、エレベータに乗り込み、手を振って別れた。


複雑な気分ではあったが、楽しむところは十分楽しめたので、いい嬢であった。
が、精神的には苦い記憶を呼び覚ます嬢(嬢自身に非は無いが)だったので、もう一度、と言うことは無いだろう。


会社のあの女性はその後どうなったのだろう。
そんなことを考えながら、私はソープを後にした。