Neetel Inside 文芸新都
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Bad Smell 中学生編(9) 狂う③

 高校には行かないと決めた私に更なる悲劇が襲う。

⑤失声症に
 
 私が肉親と友達など信用できる人以外まともに話せなくなったことは既に語ったが、その症状は更なる悪化をたどったのだ。

 それまでも、言葉につまったりしたが、何とか頑張れば、該当しない人に対しても、話すことはできた。H君に反論した時などがよい例だ。

 しかし、中学2年生の夏の始めの頃のある日、突然そういった人々に対面すると、全く言葉が発せなくなってしまった。(今ではだいぶ緩和した)
 
 家族でファミレスに行ったときのことだ。(私は他人に迷惑をかけるのが嫌で抵抗したが、母に無理矢理手を引っ張って連れていかれた。)

 皆が注文し始め、私の番となったが、私は、店員さんに注文をすることができなかった。言葉を発しようと思っても、声が出なかった。どれだけ喉を振り絞ろうが、それは無意味だった。仕方なく、私はメニューに指を指して料理を頼んだ。

 その日だけかと思ったが、この症状は中学卒業までずっと続いた。
 部活の後輩や同期に話しかけられても、声が出ず、彼らをガン無視したみたいになってしまった。(余談だが、同期には、言葉を発しようとして息を吸うとき、スーッと吸うので、よく真似をされた。しかし、それ以上のことはされなかったし、それを笑って受け入れてくれた。)

 クラスでは、クラスメイトに話しかけられても、私は言葉を返さない。なので、体臭も合間っていつしか友達以外の人間が近付こうともしなくなった。(それすらいじめのネタにするH君一派を除いて。)

 この事は交友関係にもヒビをつけた。意外と思われるかもしれないが、実は私にも小学生時代には女友達がいた。

 中学生になってからは疎遠となっていたのだが、ある日、廊下でバッタリ会い、話しかけられた。しかし、何度話しかけても、私が一言も返さ(せ)なかったので、「何で無視するん?」と言い放って、泣き出し、それ以降会っても無視されるようになった。

 この症状は今では、緩和した。声が出辛い時や詰まったり震えたりするが、緊張しない時、もしくは突発的でない時は誰とでも話ができるようになった。ただし、いじめや悪口を行った人間の場合、今でも、その程度によっては全く会話ができないことがある。

 最近、調べて分かったのだが、これらは明らかに失声症の症状だ。
 いじめは私に心理的障害だけでなく、物理的障害をもたらしたのだ。
 
 いじめを犯罪行為として法で裁く権利を認めて欲しいものである。

       

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